アナリスト水田雅展の銘柄分析】Jトラストが本格上昇、25日線を突破、業容拡大戦略を評価

2013年12月6日 07:30

  Jトラスト <8508> (東2)の株価は出直り感を強めている。第2四半期累計(4月~9月)業績の減額修正を嫌気した売りが一巡したようだ。積極的な業容拡大戦略に評価余地があり、出直りの動きを強めるだろう。

  事業者向け貸付、消費者向け貸付、クレジット・信販、信用保証、債権買取など金融サービス事業を主力として、不動産事業、アミューズメント事業、海外金融事業(消費者金融業、貯蓄銀行業)、その他事業(システム開発など)も展開している。

  M&Aや債権承継などの積極活用で業容を拡大し、国内金融分野では日本保証(12年3月ロプロが武富士の消費者金融事業を承継、12年9月ロプロと日本保証が合併)、KCカード(11年8月旧楽天KCを子会社化)、クレディア(12年7月ネオラインホールディングス株式取得に伴い子会社化)、不動産分野・アミューズメント分野ではアドアーズ <4712> (12年6月子会社化)などを傘下に置いている。

  海外金融分野では、韓国・親愛貯蓄銀行(12年10月貯蓄銀行認可・営業開始)が未来貯蓄銀行の一部資産・負債を承継し、13年1月に韓国・ソロモン貯蓄銀行から、13年6月に韓国・エイチケー貯蓄銀行から消費者信用貸付債権の一部を譲り受けた。また13年10月にはシンガポールに子会社Jトラスト・アジアを設立した。東南アジアでの成長企業に対する投資事業の拠点とするようだ。

  事業基盤強化や業容拡大に向けた戦略を推進している。13年5月にはライツ・オファリングによって総額976億円の資金調達を行い、今期第2四半期末の連結自己資本比率は49.2%に上昇した。信用保証事業では13年8月にKCカードがトマト銀行との保証業務提携を開始した。またクレジット事業では13年7月にKCカードがJ2リーグ「FC岐阜」のオフィシャルクレジットカードを発行している。

  今期(14年3月期)の連結業績見通しについては非開示としている。ライツ・オファリングによって調達した総額約976億円の資金で、金融事業を中心とした債権買取やM&Aを柱とする事業展開を予定しているが、タイミングや規模等に不確定要素があるためとしている。第2四半期累計はグループ規模拡大に伴う販管費の増加や、韓国・親愛貯蓄銀行での貸倒関連費用の増加などで減益だったが、アドアーズや韓国・親愛貯蓄銀行の連結なども寄与して増収だった。積極的な業容拡大戦略で中期的に収益拡大が期待される。

  株価の動きを見ると、11月8日の第2四半期累計減額修正を嫌気して急落し、11月12日に一時1164円まで調整する場面があった。しかし切り返しの動きとなって足元では1400円~1500円近辺まで戻している。12月5日の終値は1435円だったが、一時は前日比113円(8.09%)高の1510円まで上伸する場面もあった。日足チャートで見ると25日移動平均線回復の動きを強め、週足チャートで見ても11月11日の急落で空けた窓を埋める動きだ。積極的な業容拡大戦略に評価余地があり、失望売りが一巡して出直りの動きを強めるだろう。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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