【アナリスト水田雅展の銘柄分析】きちりは高値圏で値を固める、好業績評価して上値追い
2013年12月5日 09:03
飲食チェーンのきちり <3082> (東2)の株価は高値圏で堅調に推移している。今期(14年6月期)の好業績見通しを評価して上値追いの展開だろう。12月末に向けて株主優待制度の権利取りの動きも支援材料だ。
関西および関東エリアに直営店を展開する飲食チェーンで、カジュアルダイニング「KICHIRI」や「いしがまやハンバーグ」を主力業態とする自社ブランド事業および店舗受託運営を展開し、首都圏への新規出店を強化している。前期(13年6月期)末の直営店舗数は68店舗(関西エリア43店舗、関東エリア25店舗)である。
13年2月に食品加工機械メーカーのサタケ、4月にイタリアのバックブランド「オロビアンコ」、5月に福岡県「はかた地どり」生産者である農業組合法人福栄組合と業務提携するなど、店舗を受託運営するプラットフォームシェアリング事業の確立を目指している。今後は「はかた地どり専門店・福栄組合」を多店舗展開型業態に育成する方針だ。
中期経営計画では18年6月期の売上高100億円、営業利益15億円、経常利益16億円、純利益10億円、配当性向30%を経営目標値として掲げ、自社ブランド事業で100店舗、プラットフォームシェアリング事業で契約店舗数500店舗を目指している。
今期の業績(非連結)見通しは売上高が前期比17.3%増の73億円、営業利益が同23.8%増の7億円、経常利益が同23.9%増の7億50百万円、純利益が同30.7%増の4億50百万円としている。第1四半期(7月~9月)は輸入原材料価格の上昇や人材採用による販管費増加などで減益となり、通期見通しに対する進捗率も売上高が22.6%、営業利益が12.3%、経常利益が12.5%、純利益が12.0%と低水準だが、期中の新規出店効果などを考慮すれば、現時点では特にネガティブ要因とはならないだろう。
11月5日に株式分割を発表し、13年12月31日を基準日(効力発生日14年1月1日)として1株を2株に分割する。株式分割に伴って11月6日に配当予想を年間7円50銭(期末一括)に修正している。また11月15日に発表した立会外分売は11月25日に実施した。分売株数5万株、分売値段1019円で、当社株式の流動性向上、株主数増加、株式分布状況改善を目的としている。
11月5日には株主優待制度の導入も発表している。毎年12月31日現在で株式1単元(100株)以上を保有する株主を対象として、当社運営店舗で利用できる「優待券3000円分」または「GABAライス3kg」を選択できる。13年12月31日現在の株主名簿に記載された株式1単元以上保有株主を対象として開始する。
株価の動き(7月1日付で株式3分割)を見ると、1000円近辺での短期モミ合いから上放れて水準を切り上げた。11月27日には1165円まで上伸して、上場直後の13年4月高値1141円を突破した。その後も高値圏で堅調に推移している。今期好業績見通しを評価する動きだろう。
12月4日の終値1108円を指標面(14年1月1日付株式2分割前)で見ると、今期予想PER(会社予想EPS88円78銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想年間15円で算出)は1.4%近辺、実績PBR(前期実績BPS267円10銭で算出)は4.1倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。強基調の形であり上値追いの展開だろう。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
【関連記事・情報】
・【話題】海運株に動意、バルチック海運指数の急上昇と年末年始活躍の習性(2013/12/02)
・【話題】日経平均が『終値』で今年最高値、しかし、指数だけで儲かっていない、09年と類似との見方(2013/11/28)