ソーバル Research Memo(3):新規案件受注、新規顧客獲得で特定顧客依存の脱却が進展
2013年10月7日 17:08
*17:08JST ソーバル Research Memo(3):新規案件受注、新規顧客獲得で特定顧客依存の脱却が進展
■2014年2月期の第2四半期決算
(2)業績の分析
(a)売上高
ソーバル<2186>の事業は、大きく2つに分けられる。エンジニアリング事業とその他事業である。エンジニアリング事業は、ソフトウェア、ハードウェア及びコンテンツの開発・作成を行っている。その約80%がファームウェアという電気製品の組み込みソフトの開発・作成となっている。
その他事業は、RFID(ICタグに代表される、電波及び電磁誘導方式を用いた非接触型の自動認識技術)の製造・販売、スマートフォン向けのアプリや、ポータルサイトの運営などである。エンジニアリング事業が業務請負や開発技術者の派遣というかたちで運営されているのに対し、その他事業は非受注の製品やサービスとなっている。
2014年2月期の第2四半期の売上高の事業別の内訳は、エンジニアリング事業が3,285百万円(前年同期比2.6%増)で、全体の98.6%(前期比0.6ポイント減)を占め、その他事業が45百万円(同69.1%増)で、全体の1.4%(同0.6ポイント増)を占める結果となった。
RFID事業は、電波法の改正に伴って生じた置き換え需要がようやく動き出したことが増収の要因。比率としてはごくわずかではあるが、収益に貢献したといえよう。ただ、エンジニアリング事業が全体の増収をけん引する基本構造に変化はない。
エンジニアリング事業の増収で特筆すべきは、顧客別売上高の比率の変化である。キヤノン<7751>及びキヤノングループが65.3%(前期比5.4ポイント減)、ソニー<6758>及びソニーグループが9.3%(同1.9ポイント増)、富士通<6702>グループ9.4%(同0.7ポイント増)、NTT<9437>グループ4.3%(同0.1ポイント増)、その他11.7%(同2.7ポイント増)となった。
総括すると、キヤノン及び同社グループ企業以外の顧客からの受注が拡大した。特に2番目に取引金額が多いソニーのグループ会社からの発注が拡大した。3位の富士通グループとの取引も順調に拡大している。
さらに、「その他」の伸びが大きい点も特筆すべきであろう。「その他」は、新規の顧客が中心であり、新規の顧客獲得が進んでいることを裏付けているからだ。
キヤノン以外の比率が拡大している理由は、景気回復に伴って、顧客企業の開発案件が多くなってきていることに対応し、ファームウェアはもちろんそれ以外のウェブや業務系でも新規案件を確実に受注しているためである。ファームウェアは顧客企業の製品の開発時期によって売上が増減しやすいが、ウェブや業務系の開発へと事業のすそ野が広がることで、売上高の標準化にも期待できる。
新規案件の受注拡大は、同社が長年積み上げてきた信頼と営業努力によるものだが、顧客企業の開発姿勢の変化もある。富士通グループからの案件拡大は、子会社であるコアードが大きく貢献しているが、ソーバルグループとして富士通の発注条件をクリアできている点も大きい。
一方、最大の顧客であるキヤノングループとの取引金額はほぼ横ばいで推移。ソーバルは、特定顧客依存の経営体質からの脱却を経営課題の1つに掲げており、これは、計画どおりの進捗といえる。
むしろ、注視すべきなのはキヤノングループに割かれる人員で、比率の低下に伴ってキヤノングループに割かれる人員は減少しているようだ。それでも売上高が下がらないのは、前述したように高付加価値ソフトの開発案件が増加し、単価が上昇したためと考えられる。キヤノンとは理想的な関係ともいえよう。
また、エンジニアリング事業の売上高を契約形態別にみると、特定派遣(顧客に派遣して開発)が売上高全体の62.4%(前期比0.1ポイント増)、業務請負(請負で行う開発)が36.2%(同0.7ポイント減)となった。
キヤノングループからは、高付加価値ソフトの案件が増えており、そのため、共同開発が必要な特定派遣が増加している。
また現在、特にウェブ開発関連では、1つの案件を多数の機能に分解して、その機能ごとに開発を進める「アジャイル開発」が増加している。この手法を用いると、ソーバルにとっては設計段階から顧客と共同作業をする必要が出てくる。こういった開発体制のトレンドの変化も特定派遣が増加した要因の1つといえる。
ちなみに、特定派遣は業務請負よりも利益率が高く、足元では利益増加にも貢献している。しかし、今後は大型案件の受注に本格的に乗り出すことから、業務請負の割合も増加するとみられる。将来的には、特定派遣と業務請負を1対1の割合にしていく計画のようだ。
以上のように売上高に関しては、単に数字ばかりでなく、顧客の構成比や開発案件の種類、受注形態といった、その中身に関しても、計画どおりに順調に推移しているとみることができる。
しかし、足元では課題も発生している。社内の人員確保は順調に進んでいるものの、パートナー不足という問題が新たに持ち上がっている。案件は十分にあるものの、同社が業務を外注するパートナー企業が十分に確保できない状況になっている。
同社は、事業バランスを考えて、売上高の5%を上限にパートナー企業に外注するのを基本としている。ところが、景気回復によりパートナー企業も案件が増え、ソーバルからの発注に十分に応えられなくなっているようだ。
対策としては、コアードとMCTECの2子会社にも仕事を割り振って案件処理をしているが、下期以降は、ソーバル社員の稼働率をさらに上げて対処するとともに、パートナーの確保が課題になってくると予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤邦光)《FA》