【水田雅展の為替・株式展望】海外の弱材料と国内の強材料が交錯し波乱含みの展開
2013年9月29日 12:48
(9月30日~10月4日)
来週(9月30日~10月4日)の株式・為替相場は、海外の弱材料と国内の強材料が交錯し、引き続き方向感に欠ける展開となりそうだ。
海外要因としては、米国の暫定予算問題と連邦政府債務上限引き上げ問題、そして米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に対する不透明感があり、週末10月4日には重要イベントの米9月雇用統計が控えている。さらにイタリアの政局不透明感も浮上している。一方の国内要因としては、安陪晋三首相が10月1日に消費増税実施を正式表明し、経済対策も同時に発表する見込みだ。そして3日~4日には日銀金融政策決定会合が開催される。海外の弱材料と国内の強材料の綱引きだろう。
米国の暫定予算問題に関しては9月27日、米上院が10月1日から11月15日までの暫定予算案を可決して下院に送付した。しかし、下院が盛り込んでいたオバマ米大統領の医療保険改革法(オバマケア)向け資金の凍結措置を削除したため、これに対する下院の反応が注目され、10月1日から政府機関が閉鎖に追い込まれる可能性も高まっている。
また米国の連邦政府債務上限引き上げ問題に関しても、10月17日の資金枯渇期限に向けて、オバマ米大統領と共和党とのチキンレースが繰り広げられる。米FRBの量的緩和縮小開始時期やバーナンキ米FRB議長の後任人事問題に関しても、さまざまな見方が交錯しているだけに、不透明感の強い状況が続きそうだ。
ユーロ圏では9月22日のドイツの総選挙を通過したが、イタリアではレッタ首相が、課税法案を巡って連立与党の合意が得られなかったことを受けて議会に信任投票を求める方針を示すなど、イタリアの政局混迷に対する不透明感が広がっている。27日の欧州市場ではイタリア国債格下げの噂も流れ、イタリアの10年債利回りが6月以来の高水準に上昇したため、欧州の株式市場は総じて軟調だった。
一方の国内では、安倍晋三首相が14年4月からの消費増税実施を、10月1日に日銀短観(9月調査)を確認してから正式表明し、景気腰折れを防ぐための5兆円規模の経済対策も同時に発表する見込みだ。消費増税実施は市場の想定どおりだが、経済対策の中に法人減税がどのような形で盛り込まれるのかが注目される。また3日~4日の日銀金融政策決定会合では、消費増税による景気腰折れを回避させるためのリップサービスとして、追加緩和策を示唆するとの見方もあるようだ。
法人減税の内容や日銀の追加緩和示唆を好感して、日本株高・円安の流れとなる可能性もあるが、海外の弱材料と国内の強材料が交錯する状況だけに、波乱にも注意が必要だろう。
10月相場の先高期待が強まっているが、当面は強弱材料が交錯する状況だけに、物色面では引き続き20年東京夏季五輪関連、リニア中央新幹線関連、観光・カジノ関連、経済対策関連などを中心としたテーマ株物色だろう。動きの出始めたバイオ関連やネット関連などにも注目したい。為替が膠着感を強めていることもあり、主要企業の14年3月期業績上振れ期待を織り込む動きが強まるのは、米国の財政問題に関する不透明感払拭や為替の円安進行を確認してからになりそうだ。
その他の注目スケジュールとしては、9月30日の日本8月鉱工業生産速報値、中国9月製造業PMI改定値(HSBC)、ユーロ圏9月消費者物価指数速報値、米9月シカゴ地区購買部協会景気指数、10月1日の日本8月完全失業率、日本8月有効求人倍率、日本8月家計調査、日本8月毎月勤労統計、中国9月製造業PMI(国家統計局)、豪中銀理事会、米8月建設支出、米9月ISM製造業景気指数、米9月自動車販売台数、2日の日本9月マネタリーベース、ECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、米9月ADP雇用報告、3日の中国9月非製造業PMI(国家統計局)、米8月製造業新規受注、米9月ISM非製造業景気指数、4日の中国9月サービス部門PMI(HSBC)などがあるだろう。
その後は8日の日本8月経常収支、9月景気ウォッチャー調査、9日~10日の英中銀金融政策委員会、10日の米FOMC議事録(9月17日~18日開催分)発表、10日~11日のG20財務相・中央銀行総裁会議、11日~13日のIMF・世銀年次総会などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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