ソフトバンテク Research Memo(5):事業の視点に加えて、積極的な財務戦略によりM&Aを推進する体制が整備
2013年9月24日 17:03
*17:03JST ソフトバンテク Research Memo(5):事業の視点に加えて、積極的な財務戦略によりM&Aを推進する体制が整備
■同社の強み
(2)リサーチ&ビジネスディベロップメント推進本部と財務戦略の融合
阿多社長は就任後に企業価値の向上を目的としてリサーチ&ビジネスディベロップメント推進本部(以下R&BD推進本部)という独自の組織を設置した。同本部はソフトバンク・テクノロジー<4726>の「成長の芽」を探すのが役割である。最先端の情報通信技術を社内に取り込んで事業化すること、事業部出身の本部長の下、事業の視点でM&Aの案件を発掘すること等を主なミッションとしている。
部門設置の効果は早くも表れ始めている。6月には既存事業とのシナジーが見込まれる2社を相次いで買収した。
6月11日、Webフォント制作を行っているフォントワークスを子会社化することで合意した。両社は、すでにウェブ上でのフォントサービス「FONTPLUS」を展開しているが、フォントワークスの子会社化によって、より付加価値の高いサービスを提供していく。
また、6月18日にウェブアクセス解析サービスを行っている環を子会社化した。環は、ウェブアクセスデータの解析を起点としたウェブサイト制作、システム開発、教育事業等を展開しており、自社開発したウェブアクセス解析サービス「sibulla(シビラ)」は200社を超える顧客を保有している。ソフトバンク・テクノロジーグループが提供する比較的高価格のサービスと比較的低価格の「sibulla」を連携させることで、事業シナジーの創出を図っていく。
また、財務戦略においても今後、大きな変化が生じる可能性がある。どんなよい買収案件があっても、財務面でのサポートが欠けていては成功しない。同社は6月にソフトバンクBBの財務経理本部長だった長田隆明氏を取締役として迎えた。長田取締役はソフトバンクBBにおいて積極的な財務戦略に携わってきた人物である。同社は株式公開以来、実質無借金経営を継続し、現預金を40~50億円程度保有しているが、事業拡大に有効な案件があれば、現預金残高にとらわれない大型の買収にも乗り出していくことが可能だ。
R&BD推進本部と長田取締役を中心とする優れた財務スタッフが車の両輪となる状況も想定し得る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤邦光)《FA》