ワイヤレスゲート Research Memo(7):通期で最高益更新へ、新販売チャネルと新サービスで上積みも

2013年9月17日 18:25


*18:25JST ワイヤレスゲート Research Memo(7):通期で最高益更新へ、新販売チャネルと新サービスで上積みも
■決算動向

(2)2013年12月期の業績見通し

2013年12月期のワイヤレスゲート<9419>の会社業績予想は、売上高が前期比27.6%増の7,017百万円、営業利益が同34.1%増の800百万円、経常利益が同39.0%増の800百万円、当期純利益が同9.4%増の463百万円と期初の会社計画を維持し、過去最高益を更新する見通しだ。

販売面では、引き続きワイヤレス・ブロードバンドサービスの契約件数は増加を見込んでいる。なお、住友商事<8053>などの新販売チャネルの増加に関しては計画に織り込んでいないため、第2四半期のように順調に同チャネルでの契約件数が増加すれば、業績の上乗せ要因となる。また、電話リモートサービスも金額的にはまだ月額で数百万円程度と小さいものの、利益率は相対的に高いことから、第3四半期以降の利益増に貢献してこよう。一方、費用面では、人件費など固定費部分は第3四半期以降に増える計画はない。このため、第3四半期以降は利益率もやや上昇する見通しで、通期での営業利益率は12.0%と前期に比べて1.1ポイント上昇する見込みだ。

弊社では今後も契約件数は順調に拡大を続けていくものとみている。スマートフォンやタブレット端末などスマートデバイス市場は2011年以降急速に拡大し成長局面にあること、ゲームや動画などコンテンツの充実により、スマートデバイスにおけるデータ通信量が飛躍的に増えていることなどが背景にある。データ通信量の急増によって、携帯電話会社での通信障害も2012年頃から起きるようになり、手軽なWi-Fiサービスに加入する利用者や、有線ブロードバンドサービスから、WiMAXに切り替える利用者なども増えてきており、Wi-Fiサービスで国内最大のスポットエリアを構築し、WiMAXのサービスも同時に加入できる同社の通信サービスは、引き続き競争優位を維持できるものとみている。

なお、第3四半期以降の業績で会社計画から上積みが期待される要素として、3つの点が挙げられる。1つ目は、WiMAXにおける次世代サービスの開始が2013年10月末に予定されていることである。同サービスは「WiMAX2+」と呼ばれており、データの受信スピードが110Mbpsと現状の40Mbpsから2倍強に高速化されることになる。動画コンテンツなどもストレスなく視聴可能となるため、利用者層の拡大が見込まれる。なお、「WiMAX2+」のサービス料金や通信回線利用料などに関してはUQコミュニケーションズの価格設定によるため流動的ではあるものの、契約件数の拡大に繋がるようであれば、収益面ではプラスに寄与する見通しだ。

2つ目は、前述した電話リモートサービスのようなARPUの増加に繋がるオプションサービスの開始・拡大が挙げられる。同社では2013年12月期中に新たに1~2つのオプションサービス導入を見込んでおり、順調に立ち上がるようであれば好調な電話リモートサービスと並んで、同社の収益に寄与する可能性がある。同社ではこうしたオプションサービスに関しては、他社との提携によって進めていく方針だ。同社の約38万人の顧客基盤と課金プラットフォーム、並びに販売チャネルは、スマートデバイス市場でサービス事業を拡大したい企業にとっては魅力的な存在であり、事業提携などの引き合いが多いためだ。同社にとっては、投資リスク無しでオプションサービスを拡充し、ARPUの増加に繋げていくことができるだけに、提携メリットは大きいと言えよう。同社では、様々な案件があるなかで、加入継続率の高いサービスに絞って事業展開を進めていく方針としている。

3つ目のポイントとしては、新たな販売チャネルである携帯電話販売会社の拡大余地が挙げられる。既に大手の携帯販売会社の囲い込みは終えており、今後は取扱店舗数の拡大による契約件数の上乗せが期待される。前述したように、新たな販売チャネルの拡大による契約件数の増加要因は第2四半期(4-6月)で約1万件とみられているが、今後、取扱店舗数の広がりにより、さらに契約件数が拡大する可能性はある。また、オプションサービスである電話リモートサービスに関しても、同様のことが言える。取扱店舗数に関しては携帯電話販売会社の意向に左右されるため、どの程度拡大していくかは流動的な要素が大きい。とはいえスマートフォンとタブレット端末を合わせた国内出荷台数は、2013年度で3,818万台、2014年度で4,138万台と見込まれており、潜在的な需要は大きいと言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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