ワイヤレスゲート Research Memo(3):Wi-Fi、WiMAX、LTEの無線通信を展開、Wi-Fiは業界最大

2013年9月17日 18:22


*18:22JST ワイヤレスゲート Research Memo(3):Wi-Fi、WiMAX、LTEの無線通信を展開、Wi-Fiは業界最大
■事業概要

(1)事業区分別の事業内容

○ワイヤレス・ブロードバンドサービス事業

同事業では、ワイヤレスゲート<9419>は公衆無線LANサービスとモバイルインターネットサービスの2つのサービスを提供している。公衆無線LANサービスとは、複数の公衆無線LAN事業者が保有するWi-Fiのアクセスポイントを仕入れて(借り受けて)、通信サービスに利用する「ワイヤレスゲートWi-Fi」サービスのことで、月額380円の定額で利用できるサービスとなる。同社のサービスプランは2012年11月まで利用スポット数に応じて月額380円、480円、780円の3つの定額サービスと、1DAYプラン380円の4タイプを揃えていたが、2012年12月に月額定額サービスを380円に統一している(1DAYプランは継続)。

同社サービスの特徴は、複数の通信事業者からWi-Fiのアクセスポイントを仕入れることで、業界最大規模のWi-Fiスポットを構築していることが挙げられる。主なWi-Fiスポットとしては、東海道新幹線車内、主な鉄道・地下鉄の駅ホーム、空港、大手カフェチェーンや大手ファストフードチェーンの各店舗内などがある。2013年2月には関西で通信サービス事業を行うケイ・オプティコムと提携し、同社の「eoモバイルWi-Fiスポット」を追加したことによって、アクセスポイント数は全国で約4万ヶ所(2013年6月現在)と2012年12月末の約2万ヶ所から2倍へと拡大している。

ICT総研の調べによれば、国内公衆無線LAN市場の契約件数シェア(2011年3月末時点)で同社は11.1%と3位となっているが、上位2社の携帯キャリアに関しては、Wi-Fiサービスを携帯電話の定額サービスのなかに含めていることもあり(実質無料サービス)、有料サービスだけに限ってみれば、市場シェアは23%とトップを占めている。

携帯キャリアが実質無料サービスを行っていることから、同社サービスの加入者増について疑問視する向きもあるが、スマートフォンやタブレット端末などスマートデバイスの普及により、データ通信量の一段の増加が見込まれるなかで、アクセスポイント数が多く、利便性の高い同社サービスに加入する顧客も増えてくるとみている。

一方、モバイルインターネットサービスでは、高速無線LANサービス「WiMAX」を展開するUQコミュニケーションズからインフラ部分を仕入れて(借り受けて)、「ワイヤレスゲートWi-Fi」と組み合わせて高速無線通信サービスを提供する「ワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAX」のほか、NTTドコモ<9437>からLTE回線を仕入れて「ワイヤレスゲートWi-Fi」と組み合わせた「ワイヤレスゲートWi-Fi+LTE」の通信サービスを提供している。「ワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAX」が月額3,880円、「ワイヤレスゲートWi-Fi+LTE」が同3,980円のサービスとなる。LTEサービスはまだ2013年より始まったばかりであり、サービス加入者の大半はWiMAXサービスの利用となっている。

UQコミュニケーションズの「WiMAX」の高速無線通信サービスは、サービスエリアが広域に渡っており、既に全国主要都市の99%をカバー済みで、全国の市区町村役場の所在地をベースにすると94%をカバーしているという(2012年11月時点)。加入者数は高速無線データ通信需要の拡大を背景に順調に拡大しており、2013年7月末には426万件と前年同月比で32%増となっている。「WiMAX」サービスに関しては、どのサービス事業者においてもほぼ一律の料金体系となっており、サービス価格での差別化が図りにくくなっているが、同社では競争力のある「ワイヤレスゲートWi-Fi」サービスと組み合わせたサービスを提供することで、契約数の拡大に成功している。

同社の会員数においても、2013年6月末に約38万件となり、Wi-Fi、WiMAXともに順調に加入者を伸ばしている。加入者数はWi-Fiサービスのほうが全体の7割弱と過半を占めるが、サービス料金が低くなるため、売上高ベースでは逆に、WiMAX(モバイルインターネットサービス)のほうが大きくなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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