【アナリスト水田雅展の銘柄分析】資生堂は上昇基調続く、週足チャートは昨年秋から右肩上がり
2013年9月9日 09:12
資生堂 <4911> の株価は8月2日の年初来高値後に上げ一服の形だが、引き続き高値圏で堅調に推移している。収益改善を評価して上放れの展開が期待される。
国内外での売上低迷、買収した米ベアエッセンシャル社関連の減損損失などで前期の収益が大幅に悪化したが、生産・研究開発拠点の再編などコスト構造改革を実施して収益改善を急ぐとともに、国内、中国、ベアエッセンシャルの3領域に経営資源を集中するとしている。国内の消費マインド改善で高額商品の販売増加も期待されるだろう。
なお5月には、カナダのバイオベンチャー企業レプリセル社の「毛髪再生医療技術(RCH-01)」導入の技術提携契約に基本合意した。美容と医療を融合した安全で有効な毛髪再生医療の事業化を目指している。
今期(14年3月期)の連結業績見通しは7月31日に増額修正して、売上高が前期比7.3%増の7270億円、営業利益が同49.7%増の390億円、経常利益が同37.3%増の390億円とした。純利益は200億円の黒字化(前期は146億85百万円の赤字)で据え置いた。円安メリットが想定以上であり、事業構造改革効果も寄与して営業損益が大幅に改善する。
■第1四半期の収益が大幅改善
円安効果や事業構造改革の効果で営業損益が大幅に改善した第1四半期(4月~6月)の進捗率を見ると、通期見通しに対しては売上高が22.3%、営業利益が17.6%、経常利益が19.4%、純利益が13.3%と低水準だが、第2四半期累計(4月~9月)に対しては売上高が45.1%、営業利益が45.8%、経常利益が50.4%、純利益が38.0%と概ね順調な水準である。また8月30日に発表した7月の国内販売会社売上高は、セルフ化粧品が牽引して前年同月比4%増と好調だった。4月~7月累計は前年同期比1%増である。
修正後の通期想定為替レートは1米ドル=90円、1ユーロ=120円、1中国人民元=14.7円としている。依然として保守的な想定水準であり、通期再増額の可能性があるだろう。
株価の動きを見ると、今期業績見通しの増額修正を好感して8月2日に年初来高値1629円を付けた。その後は上げ一服の形だが、高値圏の1550円~1620円近辺のレンジで推移している。収益改善を評価する動きに変化はないだろう。
9月6日の終値1556円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円23銭で算出)は31倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.3%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS722円42銭で算出)は2.2倍近辺である。
日足チャートで見ると足元で25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインであり、強基調に変化はないだろう。足元は13週移動平均線が接近した形であり、上放れのタイミングのようだ。上値追いの展開が期待される。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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