【アナリスト水田雅展の銘柄分析】翻訳センター株価は戻りに勢い、中期成長力評価して4月高値試す

2013年9月5日 09:52

  国内最大規模の翻訳会社である翻訳センター <2483> (JQS)の株価は戻りの動きが勢いを増している。中期成長力も評価して4月の年初来高値を試す展開となりそうだ。

  特許・医薬・工業(IT関連)・法務・金融分野を中心として、企業向けなどに翻訳サービスを展開している。企業の知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、ディスクロージャー関連など翻訳サービス需要は拡大基調である。

  12年8月には通訳・翻訳・国際会議運営のアイ・エス・エス(ISS)を子会社化した。ISSは6月に横浜で開催された「第5回アフリカ開発会議」の全体運営を担当するなど国際会議運営の実績は豊富である。アベノミクス成長戦略では30年までにアジア1の国際会議開催国となることも掲げており、活躍の場が一段と広がるだろう。また13年6月には、アイタスからIT関連のローカライゼーション/マニュアル翻訳事業の一部を譲り受けるなど、M&Aも活用して積極的に業容を拡大している。

  8月6日発表の第1四半期(4月~6月)連結業績は前年同期比49.8%増収、同97.2%営業増益、同94.7%経常増益、同91.9%最終増益だった。主力の翻訳事業は医薬分野や金融分野の好調で同1.6%増収と堅調に推移した。さらに前期途中から連結対象となったISSグループの好調で派遣事業が同8.3倍増収となり、語学教育事業、国際会議運営事業、通訳事業も寄与した。

  今期(14年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比21.0%増の88億円、営業利益が同11.1%増の4億70百万円、経常利益が同11.1%増の4億70百万円、純利益が同9.0%増の2億40百万円としている。東京本部移転増床費用が発生し、人材採用などの先行投資負担も利益圧迫要因となるが、主力の翻訳事業は医薬分野や金融分野を中心に好調であり、ISSグループの通期連結なども寄与する。

■第1四半期の利益進捗率は高水準

  第1四半期(4月~6月)は大幅増収増益となり、第2四半期累計(4月~9月)に対する進捗率も売上高が50.8%、営業利益が53.6%、経常利益が52.1%、純利益が52.9%と順調な水準である。通期ベースでも好業績が期待される。

  株価の動き(4月1日付で株式100分割)を見ると、8月1日の直近安値2800円から反発して水準を大幅に切り上げている。8月6日の第1四半期業績発表を受けて好業績を見直す動きが強まったようだ。9月4日には前日比230円(6.36%)高の3850円まで上伸する場面があった。

  9月4日の終値3795円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS142円40銭で算出)は26~27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は1.2%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS1459円64銭で算出)は2.6倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して強基調に回帰した。戻りの動きに勢いを増しており、4月23日の年初来高値4060円を試す展開が期待される。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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