コンドーテック Research Memo(2):ターンバックルの自社生産開始で売上規模が急速に拡大
2013年8月23日 08:14
*08:14JST コンドーテック Research Memo(2):ターンバックルの自社生産開始で売上規模が急速に拡大
■会社概要
(1)会社沿革
コンドーテック<7438>は1947年、鉄工所に勤務していた近藤藤緒氏が独立し、船舶やハシケなどの艤装品を問屋に販売する「近藤商店」を創業したところからスタートする。戦後復興の好景気という追い風にも乗り、シャックル(※1)やワイヤクリップ、チェーンなど産業用資材の販売が年々拡大していった。当時から豊富な商品アイテムを揃え、注文が入れば即納するというのが同社の経営の方針となっており、現在までその基本方針は受け継がれている。一部の商品に関しては自社で穴あけなど加工して販売していたが、本格的に製造を開始するのは1956年でシャックルの自社生産から開始した。なお、製造業にも注力していくということで、その前年には社名を近藤鉄工へと変更している。
(※1)シャックル:ワイヤロープを結合したり、重量物を吊るすときに、ワイヤロープの先端に取り付ける、連結するためのU字形金具。
時代は戦後の高度成長期を迎える中で、建設業界向けを中心に同社の業容も大きく拡大していった。当時の主要取扱製品は自社で組立生産していたワイヤクリップと、自社鍛造品のシャックル、それに仕入販売品のターンバックル(※2)の3品目であったが、建設ラッシュのなかで、とりわけターンバックルの需要が急増し、需要に供給が追い付かない状態が続くようになっていた。そこで同社はシャックルの生産を仕入販売に切り換え、代わりにターンバックルの生産を開始することになる。この方針転換が奏功し、東海道新幹線の開通など日本各地でインフラ整備が進む中で、ターンバックルを中心に同社の売上規模も急速に拡大していくことになる。主要販売先が船舶用資材から土木・建築用資材に切り換わったのもこの頃である。1966年には現在のメイン工場である九州工場を福岡県直方市に開設している。
(※2)ターンバックル:ロープやワイヤなどの張力を調節する装置。金属製の胴の両端に右ねじと左ねじが切られていて、胴を回転させることで両端に取り付けられたボルトが締め込まれ(あるいは緩められ)、張力を調節する仕組み。庭のフェンスで使われる細いケーブル用の10グラムほどのものから、ビル、吊り橋などの構造物の固縛にも使用され、幅広い用途で使われる。
また、営業拠点も1957年に東京に進出して以降、事業規模の拡大と合わせるように、全国へと展開していった。顧客ニーズを聞きながら、需要のあるものを商品ラインナップとして加えていったことで、同社の取扱品目構成も大きな変化を遂げていくことになる。1962年当時には売上高の67%を占めていた金物類(シャックル、ターンバックル等)の比率が、1985年には22%まで低下し、代わって建設資材(24%)やワイヤロープ(23%)、鋲螺(14%)、チェーン(9%)など多岐に広がるようになった。
販売ルートも従来の問屋向けだけでなく、1985年からは鉄骨加工業者向けに直販を開始するなど成長に向けた布石が次々と打たれていった。また、輸出に関しても1980年前半までは東南アジア向けに年間で2,000百万円ほどの販売を行うまで規模が拡大したが、その後の円高進展によって輸出から輸入に切り換え、2000年以降の輸出は輸出営業をとりやめた結果、従来から注文のあった取引先から年間で100~200百万円程度の水準にとどまっている。
1989年には社名を現在のコンドーテックへと変更。また、営業拠点の全国展開が進む中で、生産拠点も顧客に近い場所に構え、短納期化を図るという戦略のもと、1991年には関東工場(茨城県結城市)、1992年には札幌工場(北海道石狩市)を相次いで開設するなど、全国展開を進めていく。2007年には滋賀工場(滋賀県蒲生郡)を開設し、中部エリアへの供給体制も整え、生産拠点においても全国展開が構築している。また、1990年代半ば以降は、業界でいち早くアジア製品の仕入販売に取り組み、バブル崩壊後の建設不況が続くなかで利益を伸ばしていく要因の1つとなった。
1995年には大阪証券取引所第二部に上場を果たしている(2011年に東証第一部に上場)。株式を上場した目的は、社会的信用の増大による資金調達方法の多様化と調達力の強化、並びに知名度の向上に伴う取引先の拡大と優秀な人材の確保、社員のモラール向上を図ることであった。
2010年には、建設業界向け商品の拡充を目的に、名古屋を地盤とする電設資材卸の三和電材を子会社化した。また、海外市場に関しても2011年にタイに駐在員事務所を開設し、再び東南アジアでの販売開拓に注力し始めるなど、更なる成長拡大に向けた取り組みを強化している。
2013年7月時点でのコンドーテックの拠点数は、国内営業拠点が42ヵ所、工場が4ヵ所、海外が2拠点(タイ駐在員事務所及び現地法人)で、そのほか三和電材の国内営業拠点13ヵ所となっている。なお、2013年7月には大阪・東京の2本社制を導入した。従業員数は単体が556名、連結で660名の規模となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》