NYの視点:米QE縮小の新興諸国への影響

2013年8月20日 07:03


*07:03JST NYの視点:米QE縮小の新興諸国への影響

対ドルでの新興諸国通貨の下落が目立つ。特に、インドルピーは過去2年間で44%下落。この3カ月での下落率は激しく、17%の下落を記録した。米国や欧州の経済が景気後退(リセッション)から回復したほか、米連邦準備制度理事会(FRB)が資産購入ペースを和らげるとの思惑を受けてリスク資産への投資が後退。今まで世界経済の牽引役となっていたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)からの急激な資本流出に拍車がかかっている。

FRBの資産縮小は多くの諸国の経済成長を抑制し、財政のファンダメンタルズを崩すことになる。投資家は特に経常赤字が膨らんでいる諸国への警戒感を強めているほか、政府が経済のコントロールをできなくなっているインドやブラジルへの懸念も強い。インド政府が通貨安是正措置の一環として導入した資本規制や金の輸入規制などは失敗。いくつかの措置は逆に問題を悪化させた。同時に、金融システム、経済への懸念も深刻化。市中銀行の中で資産規模最大のインドステイト銀行の不良債権の割合は6月末時点で総貸し出し資産の5.7%と、昨年の5%から増加。パンジャブ国立銀行の不良債権も前年の3.4%から4.8%に大幅に増えた。同国経済の低迷も目立ち、2013年3月に終了する会計年度における成長率は5%と、過去10年間で最低のペース。

ブラジルでも同様。政府は製造業を支援するためレアル安介入を行ってきたが、本年に入り、レアル安是正介入に転換。景気に焦点をあて、2012年度は金融緩和措置をとった中央銀行は、積極的なペースでの利上げを強いられている。格付け会社も財政政策への信頼性のなさを指摘し、同国格付けの見通しを引き下げた。その管理の甘さに度々、マンテガ財務相の辞任のうわさも後を絶たない。

こういった脆弱な諸国には投資の再開が必要だ。しかし、投資家を呼び戻すような信頼のできる対応策措置が提示されない限り、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に資産購入を縮小した場合、新興諸国経済から資本が更に流出することは避けられそうもない。《KO》

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