【忠田公夫の経済&マーケット展望】雇用者数増加は景気の強さ証明だが、金利上昇で夏場以降に景気減速も

2013年7月8日 14:39

  米国の量的緩和縮小のカギを握る雇用情勢の改善が明確となってきた。5日発表の6月の雇用統計では、非農業部門の新規雇用者数が前月比19.5万人増加したうえ、4月も19.9万人(前月発表では14.9万人)、5月も19.5万人(同17.5万人)と増加幅は上方修正された。この結果、今年上半期(1~6月)を平均すると、新規雇用者数は月20万人にほぼ匹敵する水準で増えたことになり、バーナンキ議長がすでに示唆した通り、量的金融緩和第3弾の縮小を始める可能性が濃厚となってきた。

  足元の米国景気は住宅市場の好転を背景にGDPの70%を占める個人消費が堅調に推移しているが、注意しておきたいのは、10年国債の金利が5月22日に2%台に乗せた後、7月5日には2.7%と、5月2日の1.62%から見ると2ヶ月の間に1.1%も急上昇したことだ。全米不動産協会が6月27日に公表した仮契約を済ませた住宅の販売指数は5月に前月比で6.7%も上昇、06年12月以来の約6年半ぶりの高い伸びを見せたが、今後、住宅ローン金利の大幅上昇を見越した購入希望者が低金利の恩恵を受けようと仮契約を急いだ可能性が大きいと見られる。つまり、こうした駆け込み需要が一巡すれば、8~9月以降の米国景気は減速することも十分考慮しておきたい。

  日経平均は6月13日の1万2415円を底に7月5日の1万4309円まで約1900円の上昇、TOPIXとTOPIXコア30はともに6月7日を底に大幅上昇を示し、なお上値が予想されるが、投資作戦としてはこの夏場に5月高値を抜く展開は想定しづらい。NYダウは5月28日の1万5409ドルを一時的に更新することがあっても、1万6000ドル近辺には2000年高値(1万1722ドル)と07年高値(1万4164ドル)を結んだ上値抵抗線が走っていることを銘記しておきたい。夏場(7~9月)高値後の展開は慎重に見ている(忠田公夫=経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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