参議選挙後に発進期待の業績主導のサマーラリー相場のリード株は?=浅妻昭治

2013年7月8日 10:59

<マーケットセンサー>

■「四季報独自増額ランキング」からスクリーニング

  業績相場発進への期待が高まってきた。もちろんこの大前提は、7月21日に投開票日を迎える参議院選挙で、与党の自民・公明両党で獲得議席数を伸ばして過半数を制し、衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ国会」を解消することにある。これにより政権運営の安定化を評価して一段の円安を招来し、「アベノミクス」の成長戦略に拍車を掛け、企業マインドが好転、参議院選挙後に本格化する3月期決算会社の第1四半期(4~6月期、1Q)業績発表で、上方修正が相次ぐようなら、この業績主導のサマーラリー相場シナリオは、現実味を増すことになる。

  「政界の一寸先は闇」などといわれ、解禁されたネット選挙が撹乱要因となるともいわれるが、前週末6日には新聞各紙が、世論調査による序盤情勢分析で揃って自民圧勝を観測しており、業績相場発進の大前提はほぼ間違いなくクリアされそうだ。2009年の衆議院総選挙でも、当時の野党・民主党が、前哨戦の東京都議会選挙の圧勝の余勢を駆って、「政権交代」のキャッチフレーズをさらに連呼して連勝しており、この繰り返しとなる公算が大きそうだ。

  となると、参議院選挙後に業績相場がスタートするとして、この業績でどの銘柄、セクターが活躍するかが問題となる。活躍の確率が高い銘柄 に的を絞れば、より好パフォーマンスが期待できることになる。好パフォーマンス銘柄は当然、1Q決算発表時に今期業績を上方修正する銘柄か、1Q決算が、第2四半期(4~9月期、2Q)累計業績に対して高利益進捗率を示す銘柄となるはずである。この有望銘柄のセレクトに関して、当コラムでは、常にオリジナルな観点から銘柄を絞り込むことを心掛けてきた。今回は、この銘柄選定について、この趣旨から少し外れ、下世話にいえば「人の褌で相撲を取る」ようでやや心苦しいが、現在発売中の東洋経済会社四季報夏号を参考にしたい。

  同夏号の巻末に掲載の「四季報独自増額ランキング」に注目したいのである。四季報の各銘柄の業績予想は、会社側が開示した業績予想とは別に、同社の記者の取材や為替動向、業界情勢などを加味して総合的に判断した独自の業績予想を掲載しており、しばしば会社予想と独自予想にギャップが生じることがあった。同号は、会社側予想の営業利益と独自予想の営業利益が大きく離れている銘柄をランキング、上位55社をスクーリングした。

  同ランキングに注目するのは、ランクインした銘柄の同号発売の6月14日以降のパフォーマンスが、日経平均株価の上昇率をオーバー・フォーマンスしている銘柄が少なくなく、上方修正の可能性のある銘柄としてすでに買い進まれているフシがみられるからである。日経平均株価は、同号発売前日の13日終値から、前週末7月5日に高値引けした1万5135円まで14.9%の上昇をしているが、例えば、同ランキングの上位19位までランクされている合計20銘柄のうち、9銘柄が、日経平均株価の上昇率を上回っているのである。ランキング8位にランクされた新日本無線 <6911> の同期間の上昇率は、このうちトップで、途中のストップ高を交えて47.7%に達し、日経平均の上昇率を3.2倍上回った計算になるのである。

  今3月期業績の上方修正は、全体として下半期回復型の業績予想をするパターンが多く、1Q決算発表時には慎重予想をしていた2Q累計業績の上方修正に止まるとの観測も有力となっているが、2Q累計業績の上方修正にしろ、3月通期業績の上方修正にまで踏み込むにしろ、四季報夏号のランキング上位銘柄が、このリード株として引き続き活躍することは想定範囲内となってくる。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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