【菜々美のマーケットにつぶやき】空売り筋を震え上がらせた日銀総裁、果たしてその行方は
2013年4月13日 12:03
個人的には、あまり相場格言は好きではないのですが、今の相場展開を見るかぎり、『国策には逆らうな』という格言がしばらく通用するのではないかと思います。
金融政策は、国の方向を決める重要なもので、安倍政権の誕生で政府と日銀が一体となった政策を採るということは、これまでになかったことです。まさに、「国策」です。
どちらかといえば、これまで、日銀はインフレを好まず、金融に対しては慎重姿勢だったと思います。去る、4月3日の日銀政策会議で黒田日銀総裁は「異次元」の言葉を用いて、大胆な金融政策を打ち出しました。2年間で資金量を2倍の270兆円にするというのです。「物価2%」が達成されるまで、あらゆる手段を用いると断言されているので、マーケットの弱気・空売り筋を振るえ上がらせています。
この「国策」が通用する間は、「空売り」より、「買い」のスタンスを取るべきだろうと思います。しかし、一方で、『いつまでもあると思うな親と金』、『天まで届く相場はない』、という格言もあるように、いずれは国策相場も終焉を迎えるときが来るはずです。
これからしばらくは、市場に大量に出回るお金がどこに向うかを見極めることが大切です。大量の資金供給で国債利回りなど金利は低下し、資金は国債や預貯金を離れて株、不動産などに向かいます。既に、それは始まっています。ここまでを第1場面とすれば、第2場面では株、不動産などの価格上昇効果から企業に前向き姿勢が出て設備投資を活発化させる。そして、第3場面で企業収益の向上で雇用増、賃金アップとなってGDPの約6割を占める個人消費が盛り上がり、景気に明るさが加わるというのがベストシナリオです。
もちろん、わたしたち女性も景気が良くなてくれることは願っています。ただ、心配なことがあります。笛や太鼓を叩いても企業の設備投資が果たして盛り上がるだろうか、という心配です。昔と違って経済はグローバルしています、国内ではこれからも電力料金の値上げが続きコスト高が予想されます、少子高齢化で国内需要が減少傾向にあると同時に働く人の数も減り続けています。既に、海外に生産拠点を構えている企業が多いことも考えると国内の雇用が大幅に改善されるかやや疑問です。
もしも、大量に供給された資金が設備投資に向かわなかった場合は、結局、株、土地などの不動産、会員権、絵画、商品などに向かい、かつて経験したバブルになる心配もあるのではないでしょうか。1989年のバブル最盛期に日経平均は3万8915円の最高値をつけ、その後、大暴落となりました。今は、「国策」に従うべきでしょうが、どことなく今の状況は1989年のバブル前夜と雰囲気が似ているようです。もちろん、まだ先のことでしょうが、頭の隅において、国債の利回りはチエックを怠らないようにしましょう。必ず金利が教えてくれるはずです(生活経済ジャーナリスト・菜々美)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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