【近況リポート】セーラー万年筆:利益体質強化を優先、通期営業益4倍超などで最終黒字化へ

2013年3月21日 13:38

■文具:成長部門伸長へ付加価値嗜好層の掘起し、ロボット:高利益率・中位機種ゾーンへ4月から新製品投入

  6期ぶりに営業黒字転換したセーラー万年筆 <7992> (東2)は、時間をかけて下値を切り上げる動きだ。

  これは、利益体質への強化を優先課題として、期初から営業展開の積極化に合わせ、コスト削減を徹底させるなど経営努力を重ね、通期では営業増益4倍超などで最終利益黒字化を目指す業績の進捗状況と平仄を合わせた動きでもある。それだけに、足元の事業展開が注目される。

■安定収益に重点200アイテム、成長部門伸長に向け新製品積極投入

  【文具事業】 定番重点200アイテムで安定収益を確保しながら、成長部門伸長に向けた新製品戦略として、希少価値、付加価値の高い製品を好む層の需要掘起しと、性別、年齢に関係なく支辞される「伝播力ある定番商品」の提供で販売力強化を見込んでいる。

  具体的には、新しいマーケット創造による成長を視野に、3月後半から4月にかけて新商品を投入、ブラジル・北欧など5カ国での収益化、優美蒔絵シリーズおよび名入れが容易な形状ペンなどでOEM需要の取込みを図る。文具事業部内へ改組・改変した電子文具は、音声ペンが児童用教材として大手出版社が採用されるなど、BtoBマーケット拡大が期待され、また、今期は、赤外線センサー装着「アンシーン」を介護分野に投入、更に、事業部長直轄としたITソリューション事業室で法律事務所・省庁外郭団体などとの商談成果を見込む。

■入替え・増設需要取り込みへ国内外で汎用型(取出機)新機種に期待大

  【ロボット機器事業】 国内での販売台数が多く汎用性が高い中位機種ゾーンの新機種「RZ―A」取出機を4月から投入する。低位機種から高性能な上位機種まで、幅広い顧客層を取り込める価格帯の製品をラインナップし、特に、国内外で利益率の高い新製品への入替え・増設需要を取り込み、下期営業中心に成果積み上げ、増収増益を目指す。海外事業では、東南アジアでの販売強化のために、ハノイ(ベトナム)に4月から新たに駐在員事務所を開設し、営業、技術各担当者を配置、戦力を強化、拡充する。さらに、ホーチミンほか、来期以降のエリア拡大へ向けた体制整備に取組む。

  ※新機種「RZ―A」は、従来ご好評いただいていた「RZ-αⅡ」の後継機種で、品質アップと価格ダウンを実現、制御系機器改善、2段伸縮式アームを標準仕様に採用し小規模・低天井高工場に対応、などの特徴がある。

  今期通期業績目標は、売上高6,599百万円(前期比2.3%増)、営業利益209百万円(同444.7&増)、経常利益106百万円(前期損失26百万円)、当期純利益78百万円(同損失26百万円)。

  【最新トピックス】 優美蒔絵シリーズ複合筆記具「奇跡の一本松」が好調。

  3月以降の文房具新製品計画では、高付加価値、新ターゲット、新チャネルに狙いを定め、開発を加速化、さらに、各カテゴリーについて女性ターゲット、雑貨チャネル、若年向けなどに、きめ細かにマーケットニーズ対応する方針。

  具体的には、高付加価値;金箔万年筆・有名漫画家デザイン万年筆。女性ターゲット;若年女性向けボールペン・中年女性向け複合筆記具・中価格万年筆。若年向け;金属軸万年筆・ボールペン・シャープペン。雑貨チャネル;ホルスタインを図案化したミルクキャンディ万年筆・マイファースト万年筆。などがある。

  2月に発表した優美蒔絵シリーズ複合筆記具「奇跡の一本松」の評判が高く全国の文房具店からの引き合いが続き、早くも初回ロットが完売する勢いだ。

  「『奇跡の一本松』は、ご当地の陸前高田市に限らず、展示会などで注目を集め、全国的な広がりが見られる。震災被害に対する支援の気持ちだけでなく、困難に立ち向かう『心の支え』の象徴として受け入れられているようだ。」(中島義雄同社社長談)。

  優美蒔絵シリーズ複合筆記具は、1月には「会津八重の桜」を発売するなど、ご当地企画を展開中。OEMの引き合いも多く、最低受注ロット100本からOEM展開できることがメリットを生んでいる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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