日産、レアアースのジスプロシウムを従来比40%削減したEV用モーターを開発

2012年11月20日 16:33

 日産自動車は20日、レアアースの一つであるジスプロシウムを従来より40%削減した電気自動車(EV)用モーターを、同日にマイナーチェンジし全国一斉発売した「日産リーフ」に搭載すると発表した。

 EVなどの電動車両用モーターには、その小型化および高性能化に必要な高い磁力を発揮できるネオジム磁石を使用しており、ジスプロシウムはネオジム磁石の耐熱性を高めるために添加されている。これまでは、ネオジム磁石全体にジスプロシウムが均一に分布されるよう添加していたが、今回レアアースマグネットのサプライヤーとの共同開発のもと、粒界拡散技術を採用し、従来と同等の耐熱性を確保しながらジスプロシウムの使用量を40%削減することが可能となった。

 ネオジム磁石の耐熱性を高めるためには磁石の結晶粒界(結晶の境目)にジスプロシウムを分布させることが効果的であり、粒界拡散とはその特性に着目した技術。日産は、新設計のEV用モーターに粒界拡散技術を適用させ、「日産リーフ」の高い動力性能を実現した。

 ジスプロシウムは、産出地域が限定している一方、家電製品や電動車両などのクリーンエネルギーに関連した需要が拡大しており、電動車両の普及を進める上でその使用量の削減や有効活用が重要な取り組みとなっている。

 日産は今後、ハイブリッド車用モーターにも粒界拡散技術を採用していくだけでなく、駆動用モーター以外の部品では最終的に使用量ゼロをめざし、開発に取り組んでいく方針。

 日産は、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」の重点目標の一つに新たに採掘する天然資源の最小化を掲げ、希少資源の使用量削減を積極的に推進している。今回のジスプロシウム使用量削減に加え、鋳鉄部品や排出ガス触媒に使用されるセリウム、ランタンなど、レアアースを含有する全部品において使用量の削減および適正化を進めており、新車への採用を順次進めていくという。

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