【編集長の視点】世直し前夜10月相場もなお悪材料消化中、IPO関連の逆向かい=浅妻昭治
2012年10月9日 10:44
<マーケットセンサー>
株式は、もちろん「ハイリスク・ハイリターン」の金融商品である。しかしリスクが多過ぎるのである。ザッとあげただけでも欧州債務問題、世界的な景気減速懸念、企業業績不安、米国の大統領選挙や中国の共産党大会などの政治指導者の交代、日中韓関係の緊張、野田第二次改造内閣の解散・総選挙を巡る与野党攻防などなど、経済的・政治的・地政学的リスクなどが目白押しである。
こうもリスクが過重となると、投資家が「ハイリスク・ノーリターン」を懸念して警戒感を強めるばかりではない。社会全般に閉塞感と敗北感がますます横溢して人心は倦み、世直し期待が高まる。11月6日の米大統領選挙、同8日の中国共産党大会、さらには国内政局のつばぜり合いなどを前に、この動向が、人心一新、世直しのキッカケとなるか期待するとともに、諦めも相半ばするムードは強まる。
株式市場は、社会を映す鏡である。今年度下半期早々の10月相場も、投資家心理は、「世直し前夜」として「ハイリスク・ハイリターン」か、「ローリスク・ローリターン」か、「ハイリスク・ノーリターン」か決め兼ねて揺れ動き、一段と膠着感を強める可能性がある。
となれば、中盤に差し掛かった10月相場も、なお投資スタンスとしては安全第一、ディフェンシブ志向、内向きの相場展開が予想される。この投資スタンスの代表は、新規株式公開(IPO)株買い、関連しての類似銘柄投資、直近IPO株投資である。9月28日IPOのメディアフラッグ <6067> (東マ)は、今年3番目の高初値倍率となる人気となり、直近IPO株のなかにはストップ高銘柄が続出し、つれてIPO株の類似銘柄への人気波及も目立つ。
このIPO株投資で次のポイントとなると観測されているのが、10月19日に東証マザーズにIPO予定のトレンダーズ(Trends) <6069> (東マ)である。同社は、ソーシャルメディアを利用した女性向けの口コミのマーケティング事業と美容クリニックのポータルサイトの運営を事業内容としているが、同社の類似企業は、このところのIPO株とはやや異例ともいえるほど多岐にわたるのである。明10月10日に公開価格が決定される予定にあるが、ここから同社自身へのIPO投資、類似企業買いの先回り買いが本格化することになる。
類似企業買いの基本銘柄は、SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)関連株や美容クリニック関連の既上場の同業他社となる。SNショッピングサイト運営のエニグモ <3665> (東マ)は、直近IPO株としても人気となり、化粧品口コミサイト運営のアイスタイル <3660> (東マ)も、ストップ高を演じたばかりである。
このほか、美容クリニック関連では、エステ・美容機器・化粧品通販のティーライフ <3172> (JQS)、ケンコーコム <3325> (東マ)、ドクターシーラボ <4924> (東1)、ヤーマン <6630> (東1)なども類似企業となってくる。
ただトレンダーズの場合は、この類似企業が、同業態の同業他社のみにとどまらないのが、IPO株として異色なところとなる。それは、同社の経沢香保子社長が、かのリクルート社出身の著名なアントンプレヌース(女性起業家)であることと関連しており、同様にリクルート出身者が、社長、会長、経営幹部を務める企業までが、関連株として脚光を浴びる可能性があるのである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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