MEMSセンサ、日本は市場の牽引役となれるのか

2012年8月20日 11:00

 スマートフォンやタブレット端末などにおいて、画面の方向検知、ジェスチャー認識、歩数計測あるいはパーソナル・ナビゲーションといった機能を実現するために搭載されているMEMSセンサ。近時はポータブルゲーム機や健康器具等への搭載も進み、車載数も増加していることから、仏国のYole Developpement社の調査によると、MEMS市場は2010年から2016年までに年率平均15%で成長すると予測されるなど、需要が一層高まっている。

 この需要増を背景に様々な企業が、買収劇やラインナップの拡充を実施している。

 村田製作所は、今年1月にフィンランドのVTI Technologies社を買収。5月にMurata Electronics Oyへと社名を変更し、6月にアイドリングストップシステム向けに加速度センサ・ジャイロコンボセンサならびに傾斜センサの拡売を発表。STマイクロエレクトロニクスも、3軸全てにおいて非常に高い加速度を検出する超低消費電流のMEMSセンサを発表している。

 また、ロームのグループ会社で、センサ業界において世界トップ3社のうちの1社である米国のカイオニクス社も、パートナー企業から提供される地磁気センサを組み合わせることで9軸センサも実現可能な業界トップレベルの低消費・低電流を実現した6軸センサを発売予定。駆動電力とノイズの大幅な低減やコストダウンを実現する業界最小の加速度センサも6月下旬からサンプル出荷を開始するなど、ラインナップの拡充を進めている。同社の開発力や生産能力、そして顧客からの信頼度は高く、ソニーのプレイステーションヴィータやKinectにもカイオニクスの加速度センサが搭載されていることが確認されている。

 富士キメラ総研の調査でも、民生・産業用で従来用途の搭載個数の増加、ライフケア(医療、健康)、バイオなど新規用途での採用、自動車用途の採用部位の増加などで、2020年には2010年比で185%もの伸長率を記録する予測されているMEMSセンサ市場。MEMSセンサは半導体素子と同じく、一般に寸法を小さくすると感度や精度が向上するというから、技術大国と言われる日本は、この伸長する市場を牽引する役割を担うだけの潜在能力があるのではないだろうか。

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