まるで「ヒッグス粒子相場」?重くて上にも下にも行かない!=浅妻昭治

2012年7月9日 13:48

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

■トレンド未確定の「ヒッグス粒子相場」では海洋開発の「素粒子銘柄」のサプライズにヒット・アンド・アウェイ

 まるで「ヒッグス粒子相場」ではないかという声が、聞こえてきそうである。重いのである。重くて上にも下にも行かない。7月第1週の日経平均株価は、上下の値幅がわずか160円にとどまり、東証第1部の売買代金も連日、1兆円を割った。新発見されたヒッグス粒子は、自由に動き回る素粒子に重さを与えて結合させるメカニズムで物質を誕生させるが、相場の方も、自由に動き回る素粒子(株価)をビッグス粒子が抑えつけているような膠着・閑散状態のようである。

 しかもこれが、欧州、中国で相次いで金利が引き下げられたポジティブ・イベントがあったなかで続いた。相場は「期待で買って現実で売る」習性を持つが、欧州中央銀行(ECB)の利下げは、期待もなければサプライズもない冷淡さに終始した。こうなると次のイベントと期待される日銀の金融政策決定会合(7月11~12日)や、7月9日のアルコアを筆頭に始まる日米の主力株の決算(4~6月期)発表も、またまた単なるイベント通過に終わり、相場は上値を追うのか下値を探るのかトレンドは発生しないかもしれないとの諦めが先に立つ。

 勢い相場は、材料株を中心にした局地戦、ゲリラ相場にならざるを得ないと想像がつく。重い「ヒッグス粒子相場」で、この拘束を逃れて自由に動き回る「素粒子銘柄」が中心になる相場である。7月4日にアタカ大機 <1978> が、放射性セシウムの分離・処理技術の開発を報道されて3日間で9割高もして週間値上がり率ランキングのトップに躍り出たが、これこそまさしく「素粒子銘柄」のサプライズで、このヒット・アンド・アウェイ(早乗り・早降り)競争である。この7~8月は、こうした「素粒子銘柄」が出現しやすい時期にも当たるからでもある。

 7~8月は、来年度予算編成に向け各省庁で概算要求固めが進められる時期である。各省庁では、「一丁目一番地」、「新政策」などの言葉が飛び交い、優先政策、予算配分の取捨選択が行なわれる。この新政策の予算要求案件が、財務省の査定を通過すべく土台作りに向けて、大見出しの活字付きで大新聞の紙面を飾り、関連株の株価を刺激することがよくあるからである。これは、消費税増税法案の審議が参議院で始まり、政界流動化が観測される今年も変わらいはずで、いつ何時、「素粒子銘柄」のサプライズが飛び出してくるかもしれないのである。

 このポイントで注目して置きたいのは、経済産業省マターである。というのも、経済産業省関連で今年6月に「素粒子銘柄」が相次いだからである。6月16日に経済産業省・資源エネルギー庁が、新潟県佐渡沖での石油・天然ガス基礎調査実施を発表してJXホールディングス <5020> ほかの関連株が急伸し、6月29日にはNHKのテレビニュースで、南鳥島近くの海底で日本の消費量の220年分にも達するレアアース資源の賦存が報道されて、同じく三井海洋開発 <6269> ほかの関連株が急伸したことは記憶に新しい。

 経済産業省といえば、原発事故では東京電力 <9501> との癒着が指弾され、枝野幸雄経済産業大臣も、前任の内閣官房長官時代の原発事故対応では、7月5日に提出された国会事故調査委員会の報告書でも被害拡大の「人災」の一つに数えられている。当然、「一丁目一番地」、「新政策」に力が入るというものである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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