【株式市況を検証】EU首脳会議の合意内容はポジティブサプライズ、底入れ感や潮目変化が鮮明
2012年6月30日 17:40
【株式市場フラッシュ(6月25日~29日の日本株式市場)】
★日経平均株価、TOPIXともに4週連続上昇
6月25日~29日の日本株式市場は、週間ベースで日経平均株価が208円43銭(2.37%)上昇、TOPIXが19.16ポイント(2.56%)上昇し、いずれも週間ベースで4週連続の上昇となった。
終値ベースで見ると、29日の日経平均株価は9006円78銭で5月10日(9009円65銭)以来となる戻り高値水準、TOPIXは770.08で5月8日(776.57)以来となる戻り高値水準だった。
1週間の動きを簡単に整理すると、週前半25日~26日は、週末28日~29日のEU首脳会議を控えて様子見ムードを強めた。為替が円高方向に傾いたこともあり、輸出関連セクターがやや軟調な展開だった。
27日~28日は、EU首脳会議に対する期待感が後退する中でも堅調な展開となった。内需関連セクターへの物色シフトが目立った。
週末29日は売り優勢でのスタートだったが、昼休み時間中にEU首脳会議での合意内容が伝わり、ポジティブサプライズとなって午後は大幅上昇に転じた。
結果的には29日のEU首脳会議でのポジティブサプライズが大幅上昇につながった形だが、それ以前にも、前週後半の21日と22日が外部環境の悪化にもかかわらず、意外なほどに堅調な展開だったことで、日本の株式市場では底入れ感や潮目変化を印象付けていた。
そして今週も、EU首脳会議に対する期待感の後退に加えて、為替がやや円高方向に傾く状況だったにもかかわらず、内需関連セクターへ物色シフトする形で概ね堅調な展開だった。そして週末29日には、EU首脳会議でのポジティブサプライズが強い追い風となり、底入れ感や潮目変化が鮮明になった形だろう。
今週の主要国・地域の動向を整理すると、ユーロ圏では25日、スペイン政府が銀行資本増強問題でユーロ圏に対して金融支援を正式要請した。金額を明らかにしなかったことで警戒感が広がり、スペインとイタリアの10年債利回りが上昇した。キプロス政府もEUに対して金融支援を要請した。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはスペインの銀行28行の格付け引き下げを発表した。
26日には、スペイン短期債入札で落札利回りが急上昇したため、外国為替市場でユーロ売り優勢になった。ユーロ共同債に関してメルケル独首相の「私が生きている限り債務の共有はない」との否定的発言が伝わったこともユーロ売りにつながった。27日には、メルケル独首相とオランド仏大統領の会談で欧州統合を深化させることで一致した。イタリア議会では労働市場改革法が可決・成立した。業績悪化を理由とする解雇に道を開き、産業活性化につながると期待されている。
現地時間28日に始まったEU首脳会議では、ファンロンパイEU大統領が日本時間29日未明、EU首脳は1200億ユーロ規模の成長促進策で合意したと発表し、欧州投資銀行(EIA)による融資拡大やインフラ向けのプロジェクト債が含まれることも明らかにした。
さらに日本時間29日昼(現地時間29日未明)の共同記者会見で、ユーロ圏の銀行監督機能の一元化案を年末までにまとめ、新制度にはECB(欧州中央銀行)が関与し、7月に設立するESM(欧州安定メカニズム)による金融機関への直接資本注入を一定の条件下で可能とすることにユーロ圏17カ国首脳が合意したと発表した。また、スペインへのEFSF(欧州金融安定基金)とESMによる支援融資には、民間債権者より上位となる優先弁済権は付けないとした。さらにユーロ圏加盟国の金融市場安定に向けて、南欧諸国の国債買い入れなどにEFSFとESMを柔軟で効率的な方法で活用できるようにするとした。事前の期待感が後退していただけに、この合意内容がポジティブサプライズとなった。
米国の主要経済指標では強弱感が交錯した。25日の米5月新築住宅販売件数、26日の米4月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米5月住宅着工許可件数改定値、27日の米5月住宅販売保留指数など、住宅関連指標は改善が目立ち、住宅市場回復への期待感が広がった。また27日の米5月耐久財受注、29日の米6月シカゴ購買部協会景気指数も改善した。
一方で、25日の米5月シカゴ地区連銀全米活動指数、26日の米6月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は悪化した。28日の米新規失業保険申請件数は前週比で減少したが、依然として高水準だった。29日の米6月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は速報値から下方修正された。28日の米1~3月期実質GDP確定値は前回改定値と同水準だった。29日の米5月個人所得、米5月個人消費支出はほぼ横ばいだった。
なお28日には、米医療保険改革法を巡る裁判で米最高裁が予想外に事実上合憲の判決を下したことに加えて、米金融大手JPモルガンチェースのデリバティブに絡む損失額が当初の想定を上回り最大90億ドルに膨らむ可能性があるとのニューヨークタイムズ紙の報道を嫌気して、米国株式市場は急落する場面があった。
外国為替市場では、25日~28日はスペインやイタリアの10年債利回り上昇、EU首脳会議への期待感後退などでユーロ売り優勢の流れだった。この流れが波及してドル・円相場も前週末に比べてドル安・円高水準で推移した。しかし日本時間29日昼に伝わったEU首脳会議の合意内容がポジティブサプライズとなり、29日午後以降はリスク回避の動きが後退してユーロが急速に買い戻された。この流れが波及してドル買い・円売りがやや優勢になった。週末29日の海外市場で終盤は1ドル=79円80銭近辺、1ユーロ=101円00銭近辺だった。
日経平均株価の終値ベースで騰落状況を見ると、週初25日は前日比63円73銭(0.72%)安と続落、26日は70円63銭(0.81%)安と3営業日続落、27日は前日比66円50銭(0.77%)高と4営業日ぶり反発、28日は前日比143円62銭(1.65%)高と大幅続伸、29日は前日比132円67銭(1.50%)高と大幅に3営業日続伸した。日中の値幅は25日が111円43銭、26日が93円32銭、27日が88円97銭、28日が75円79銭、29日が240円71銭だった。
日経平均株価の週末29日の終値は9006円78銭となり、前週末22日の終値8798円35銭に比べて208円43銭(2.37%)上昇した。週間ベースでは4週連続の上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は29日の9044円04銭、週間安値は26日の8619円36銭で、1週間の取引時間中の値幅は424円68銭だった。なお月間ベースで見ると6月末(29日)の終値は9006円78銭で、5月末(31日)の終値8542円73銭に比べて464円05銭(5.44%)上昇した。3カ月ぶりの上昇だった。
TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末29日の終値は770.08で、前週末22日の終値750.92に比べて19.16ポイント(2.56%)上昇した。週間ベースでは4週連続の上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は29日の773.21、週間安値は26日の734.41だった。29日時点のNT倍率は11.70倍で、前週末22日時点11.72倍に比べて0.02ポイント低下した。なお月間ベースで見ると6月末(29日)の終値は770.08で、5月末(31日)の終値719.49に比べて50.59ポイント(7.04%)上昇した。3カ月ぶりの上昇だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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