【話題株】日本ガイシの「NAS電池」を東北電力が設置取りやめと伝えられる

2012年3月31日 18:29

■火災原因が未確定で緊急電源の必要性も後退と

  大容量の電力貯蔵電池として知られる日本ガイシ <5333> の「NAS電池」(ナトリウム硫黄電池)の導入を計画していた東北電力 <9506> が、導入を取りやめることを明らかにしたと31日付けの秋田魁(さきがけ)新報のネットニュースが伝えた。これによると、昨年、茨城県内の同じ構造の電池で発生した火災の原因が判明しておらず、運用開始が困難と判断。また、原町火力発電所(福島県南相馬市)が来年3月までに復旧する見込みのため、今秋以降は緊急的に電源を確保する必要もなくなったという。

■当初は東北の日本海側で電力貯蔵し太平洋側に送電を計画

  同電力は、昨年6月、冬の電力不足への対策として、「国内最大規模のNAS電池を設置」と発表し、太平洋側にある火力発電所が甚大な設備被害を受けたため、日本海側の能代火力発電所(秋田県能代市)に大容量のNAS電池(ナトリウム・硫黄電池)を設置し、深夜などに蓄電を行い、需要の高い時間帯に放電する運用を行なう計画を進めていた。

■日本ガイシは12年度前半の生産再開めざす

  「NAS電池」は、実用化されている電力貯蔵用電池としては現在最大規模の容量を確保でき、日本ガイシ <5333> が中心になり開発。太陽光発電や風力発電など、発電にムラのある電力を平準化し、安定送電する上でも使用され、2011年10月の段階で世界6カ国の合計174カ所で使用されている。11年9月、三菱マテリアル <5711> 筑波製作所(茨城県常総市)で使用するNAS電池に火災事故が発生。日本ガイシでは、一時生産を中止して原因究明に取り組んだ。同年12月、この事故に関連する特別損失600億円の計上と今後の取り組みを発表し、12年3月期の連結純利益を400億円の赤字の予想としたほか、既設の電池に対する安全対策を施し運転再開を進め、安全対策を織り込んだNAS電池の生産再開を来年度の前半を目標に取り組むとした。

  日本ガイシの株価は昨年11月の786円を下値に持ち直す相場に転換し、3月29日に1196円の戻り高値。30日の終値は1181円(前日終値比変わらず)だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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