【株式市場・この1週間】週末2日の日経平均株価は終値で8600円台を回復

2011年12月3日 18:13

■株式市況を振り返って(11月28日~12月2日の株式市場の動き)

★終値で14日(8603円70銭)以来となる8600円台を回復

  28日は、日経平均株価(225種)が前週末比127円48銭(1.56%)高の8287円49銭で6営業日ぶりに反発、TOPIXが前週末比9.10ポイント(1.29%)高の715.70で続伸した。東証1部市場の売買代金は8017億円にとどまり、10営業日連続の1兆円割れとなった。前週末25日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比25ドル61セント(0.23%)安と4営業日続落した。年末商戦に向けた期待感で前日比103ドル92セント高まで上昇する場面もあったが、イタリアなどの国債利回り上昇、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるベルギー国債格付け引き下げなどで警戒感が強まり取引終了にかけて値を崩した。前日の独仏伊首脳会談で、メルケル独首相がユーロ共同債の導入に対して反対の姿勢を強調したことも弱材料視された。S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は7営業日続落した。この流れに対して日経平均株価は前週末比109円90銭高と買い先行でスタートした。IMF(国際通貨基金)がイタリア支援で最大6000億ユーロを準備しているとの報道(伊紙スタンパ)、EFSF(欧州金融安定基金)の具体的な運用ルールが固まり29日のユーロ圏財務相会合で承認される見込みとの報道(ロイター)、独仏両国は一部加盟国が先行してユーロ圏の財務統合を進める案を検討しているとの報道(ロイター)を好感した。米国の年末商戦の出足が好調だったこと、米国の株式指数先物取引が上昇したこと、外国為替市場で円高が一服したことも支援材料だった。日経平均株価は前週末25日まで5営業日続落し、4営業日連続で年初来安値を更新していたこともあり、値ごろ感からの自律反発狙いの買いが優勢だった。外資系証券9社経由の注文状況は差し引き550万株の買い越しだった。寄り付き後も買い優勢となり、日経平均株価は午前の中頃に前週末比162円00銭高の8322円01銭まで上昇する場面もあった。しかし次第に上値が重くなり、午後に入ると8300円を挟む小幅レンジでモミ合う展開となった。ユーロ圏主要国の国債入札やユーロ圏財務相会合の動向を見極めたいとして手控えムードを強めた。IMFが6000億ユーロを準備しているとの報道に対しても、IMFが否定的なコメントを出したことで懐疑的な見方が広がった。結局、日経平均株価の日中値幅は62円30銭にとどまり、終値では8300円台に届かなかった。東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄が1107(全体の66%)だった。セクター別には、売り込まれていた主力銘柄が総じて買い戻された。鉱業、非鉄金属、機械、電機、自動車、証券、保険、海運などの上昇が目立ち、日立グループの電池事業再編に関連してリチウムイオン電池関連が大幅上昇した。一方で医薬品、電鉄、電力などが軟調だった。

  29日は、日経平均株価(225種)が前日比190円33銭(2.30%)高の8477円82銭で大幅に続伸、TOPIXが前日比13.98ポイント(1.95%)高で大幅に3営業日続伸した。ほぼ全面高の展開だったが、東証1部市場の売買代金は9408億円で11営業日連続の1兆円割れだった。前日28日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比291ドル23セント(2.59%)高と5営業日ぶりに大幅反発した。前日比330ドル32セント高まで上昇する場面もあった。イタリアとベルギーの国債入札が堅調だったこと、イタリア国債の利回りは依然として7%台だが前週に比べてやや低下したこと、29日のユーロ圏財務相会合で追加策が打ち出されるとの期待感が広がったこと、ドイツが格付け最上位のAAAを得ている他のユーロ圏5カ国と共同債を発行する可能性が報道されたことなどで、欧州の株式市場が大幅に上昇した。さらに米国年末商戦の出足が好調だったこと、米10月新築1戸建て住宅販売が前月比1.3%増加となり市場予想を上回ったことなども好感した。S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は8営業日ぶりに大幅反発した。この流れを受けて日経平均株価は前日比83円52銭高と買い先行でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き460万株の売り越しだったが、外国為替市場で1ドル=78円近辺、1ユーロ=103円台後半と円安方向に振れていたことも支援材料だった。買い一巡後はモミ合う展開となり膠着感を強めた。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が10日以内にフランスの格付け見通しをネガティブに引き下げる可能性があるとの報道(仏ラ・トリビューヌ紙)もあり、ユーロ圏財務相会合の動向を見極めたいとして手控えムードを強めた。しかし午後に入ると徐々に上昇幅を広げる展開となった。中国などアジアの株式市場の上昇に加えて、外国為替市場のユーロ・円相場が1ユーロ=104円台前半と円安方向だったことも安心感につながった。大引けにかけては株価指数先物取引が主導する形で一段高の展開となった。日経平均株価は高値引けとなり、終値で17日(8479円63銭)以来となる8400円台を回復した。日経平均株価の日中値幅は126円44銭だった。東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄が1472(全体の88%)に達し、ほぼ全面高の展開だった。セクター別には、売り込まれていた主力銘柄を中心に買い戻され、鉄鋼、非鉄金属、機械、電機、商社、海運などの上昇が目立った。売買代金トップの日立(6501)は5.45%高だった。一方で半導体関連、通信、電力の一角が軟調だった。

  30日は、日経平均株価(225種)が前日比43円21銭(0.51%)安の8434円61銭で3営業日ぶりに反落、TOPIXが前日比1.22ポイント(0.17%)安の728.46で4営業日ぶりに小幅反落した。28日と29日の大幅上昇の反動で利益確定売りが優勢だったが、下げ渋る展開となった。東証1部市場の売買代金は1兆629億円で、12営業日ぶりに1兆円を上回った。前日29日の米国株式市場は高安まちまちだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比32ドル62セント(0.28%)高と続伸した。イタリア国債入札で落札利回りが過去最高水準だったが応札倍率が上昇した。米11月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は56.0で前回修正値40.9から大幅改善して市場予想も上回った。これを好感して前日比101ドル00セント高まで上昇する場面もあった。注目されたユーロ圏財務相会合では、ギリシャ向け80億ユーロの融資実行、EFSF(欧州金融安定基金)の機能拡充、IMF資金源拡大の検討などで合意したが、特に目立った進展がなかったとして期待感がしぼみ、取引終了にかけて上昇幅を縮小した。S&P500株価指数も小幅に続伸したが、ナスダック総合株価指数は反落した。この流れを受けて日経平均株価は前日比70円19銭安と売り先行でスタートした。28日と29日の2営業日合計で317円81銭上昇したため、反動で利益確定売りが優勢だった。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き100万株の売り越しだった。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が欧米主要銀行の格付けを引き下げたことも弱材料視された。ただし寄り付き後は下げ渋り、日経平均株価8300円近辺の狭いレンジでモミ合う展開となった。日本の10月鉱工業生産速報値は前月比2.4%増で市場予想を上回ったが反応は限定的だった。午後に入ると寄り付きから下落幅を広げる展開となり、日経平均株価は前日比116円13銭安の8361円69銭まで下落する場面もあった。中国などアジアの株式市場の下落が弱材料視された。しかし午後の中頃から大引けにかけては、売りが一巡して下落幅を縮小する展開となった。前日比ではマイナス圏にとどまったが、結局この日の高値圏で取引を終了し、日経平均株価は8400円台を維持した。月末ドレッシング買いとの見方もあった。日経平均株価の日中値幅は73円65銭だった。東証1部市場の騰落銘柄数は値下がり銘柄が833(全体の50%)で、値上がり銘柄689(全体の41%)を上回った。セクター別には、輸出関連など主力銘柄への買い戻しが一巡して低位材料株が物色されるなど、物色の方向感に欠ける展開だったが、ガラス・土石、機械、半導体関連、メガバンク、海運などの下落が目立った。一方で、食品や商社などの一角が堅調だった。日経平均株価、TOPIXともに下落したが、一段と売り込む動きは見られなかった。引き続きユーロ圏債務危機問題に対する警戒感は強いが、目先の下値固めを意識させる形だろう。

  1日は、日経平均株価(225種)が前日比162円77銭(1.93%)高の8597円38銭で大幅に反発した。終値では8600円台に届かなかったものの、14日(8603円70銭)以来の水準に回復した。TOPIXは前日比11.55ポイント(1.59%)高の740.01で大幅に反発し、9日(749.40)以来の水準に回復した。東証1部市場の売買代金は1兆2625億円だった。前日30日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比490ドル05セント(4.24%)高と大幅に3営業日続伸した。S&P500株価指数は前日比4.33%高と大幅に3営業日続伸、ナスダック総合株価指数は前日比4.17%高と大幅に反発した。欧州の株式市場も軒並み大幅上昇した。日米欧の主要6カ国・地域の中央銀行がドル資金供給を拡充するための協調対応策を発表したため、金融市場の緊張が和らぐとの期待感が高まった。中国人民銀行が08年12月以来ほぼ3年ぶりに預金準備率を引き下げて金融緩和方向に転じたことも好感した。米11月ADP雇用リポートで民間の非農業部門雇用者数が20.6万人となり、前月の11.0万人から大幅に増加して市場予想の13万人も上回った。米11月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は62.6となり、前月の58.4から上昇して市場予想も上回った。こうした良好な経済指標も支援材料だった。こうした流れを受けて日経平均株価は前日比146円59銭高と買い先行でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き410万株の買い越しだった。ただし寄り付きの買い一巡後は伸び悩み、日経平均株価は8600円台前半の小幅レンジでモミ合う展開となった。中国が発表した11月PMI(製造業購買担当者景気指数)は49.0で、前月の50.4から低下して09年2月以来の低水準となったが、織り込み済みとして市場の反応は限定的だった。午後に入ると、日経平均株価は前日比219円27銭高の8653円88銭まで上昇し、この日の高値を付ける場面もあった。アジアの主要株式市場の上昇も安心感につながった。しかし大引けにかけては利益確定売りに押されて上昇幅を縮小し、結局この日の安値圏で取引を終了した。日経平均株価の日中値幅は76円79銭だった。東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄1156(全体の69%)、値下がり銘柄427(全体の26%)だった。株価指数は大幅上昇したが全面高とはならなかった。セクター別には、輸出関連の主力銘柄を中心に買い戻された。特に中国の金融緩和方向への転換を好感して、中国関連のコマツ(6301)、日立建機(6305)、ファナック(6954)が大幅上昇した。また総合商社、メガバンク、海運などの上昇も目立った。一方で、食品、小売、通信、SNS関連の一角などが軟調だった。売買代金トップのソフトバンク(9984)は5.02%安だった。NTTドコモ(9437)と米アップルが「iPhone」と「iPad」の次世代機を日本国内で販売することに同意したと報じられ、競争激化が警戒された。大引けにかけて伸び悩む展開となったが、日経平均株価、TOPIXともに前日比では大幅に反発した。東証1部市場の売買代金も前週に比べて増加傾向となった。ユーロ圏債務危機問題に対する過度な警戒感が後退し、目先は25日移動平均線を意識した動きになりそうだ。

  2日は、日経平均株価(225種)が前日比46円37銭(0.54%)高の8643円75銭で続伸し、終値で14日(8603円70銭)以来となる8600円台を回復した。TOPIXは前日比4.13ポイント(0.56%)高の744.14で続伸した。東証1部市場の売買代金は9153億円で3営業日ぶりの1兆円割れだった。前日1日の米国株式市場の動きは高安まちまちだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比25ドル65セント(0.21%)安と4営業日ぶりに小幅反落した。スペインとフランスの国債入札が順調で主要各国の国債利回りも低下した。米11月ISM製造業景況感指数は52.7となり、前月の50.8から上昇して市場予想も上回った。しかし前日の大幅上昇の反動で利益確定売りが優勢だった。新規失業保険申請件数は40.2万件となり前週比0.6万件増加して市場予想より悪化した。ただし反応は限定的だった。S&P500株価指数は前日比0.19%安と4営業日ぶりに小幅反落、ナスダック総合株価指数は前日比0.22%高と小幅に続伸した。こうした流れを受けて日経平均株価は前日比5円85銭高と小幅に買い先行でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き80万株の買い越しだった。その後は日経平均株価8600円台前半の小幅レンジでモミ合う展開となった。前日の大幅上昇の反動や週末要因に加えて、米11月雇用統計を控えて様子見ムードも強めた。午後の寄り付き直後には、アジアの主要株式市場の下落が弱材料視されて、日経平均株価が前日比マイナス圏に転じる場面もあったが、外国為替市場が落ち着いた動きだったこともあり、すぐに切り返した。その後も狭いレンジでのモミ合い展開が続いたが、大引けにかけては上昇幅を広げ、結局この日の高値引けとなった。ただし日経平均株価の日中値幅は51円82銭にとどまった。東証1部市場の騰落銘柄数は、値上がり銘柄960(全体の58%)、値下がり銘柄555(全体の33%)だった。セクター別には物色の方向感がなく、低位材料株への物色が目立った。主力銘柄の中には利益確定売りに押されるものも少なくなかった。売買代金トップのDENA(2432)は8.11%高だった。横浜ベイスターズの買収承認や証券会社のレーティング引き上げを好感した。またグリー(3632)が2.31%高、サイバーエージェント(4751)が1.92%高、コナミ(9766)が3.94%高など、調整色を強めていたソーシャルゲーム関連の上昇も目立った。前日の大幅上昇の反動や週末要因にもかかわらず、日経平均株価、TOPIXともに続伸し、印象としては堅調な展開だった。チャート面で見ても日経平均株価、TOPIXともに2営業日連続で25日移動平均線を上回る形となった。ユーロ圏債務危機問題に対する過度な警戒感が後退しており、米11月雇用統計で波乱がなければ、当面は買い戻し優勢の展開となりそうだ。

  2日の米国株式市場はほぼ横ばいだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比61セント(0.01%)安と小幅に続落した。米11月雇用統計で失業率は8.6%となり、前月の9.0%に比べて0.4ポイント低下し、市場予想以上に改善した。非農業部門雇用者数は12.0万人増加となり、市場予想をやや下回ったが前月改定値の10.0万人に比べて改善した。これを好感して序盤には、前日比126ドル65セント高まで上昇する場面もあった。しかし、週末要因などで徐々に利益確定売りが優勢になって上昇幅を縮小した。結局、僅かながら前日比マイナス圏で取引を終了した。8~9日のEU首脳会議を控えて様子見ムードも広がった。S&P500株価指数も前日比0.02%安と小幅続落したが、ナスダック総合株価指数は前日比0.03%高と小幅に3営業日続伸した。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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