【読者と一問一答】大阪維新の会勝利は日本を変えることにつながるか?
2011年11月28日 14:31
★不満の強い国民に大いなる刺激
【問い】 今度の大阪ダブル選挙において、大阪維新の会が勝利したことで、「日本全体」及び、「株式市場」に何か新しい動きが起きるでしょうか。
【答え】 かなり高い確率で何かが起きると思います。「大阪維新の会」を率いる橋本徹氏が大阪市長に当選、同じく維新の会の松井一郎氏が大阪府知事に当選したことは、大阪だけのことではなく、「日本の閉塞感」を打ち破って欲しいという国民全体の願いにも通じるところがあるからです。大阪からの「偏西風」に乗って全国に広がる可能性があるのではないでしょうか。
まず、大阪に限って言えば、今回の維新の会の勝利には、何よりも、はっきりしていることは、大阪府民、大阪市民が「大阪を変えて欲しい」と願ってのことです。何を変えるか。たとえば、大阪を言い現す象徴的な言葉に、以前から、大阪の経済は東京に対し、「1割経済」と言われ続けてきたことがあります。地形、人口、文化、歴史などからみれば、決して1割ではないにも関らず経済力が劣っている。関西出身の企業の多くが、広報部などの本社機能を東京に移し、決算発表の主力は東京で行うというところも目につきます。証券会社のアナリストも関西には、ほとんど常駐していない状況です。要するに、大阪に居なくても用が足りる。経済に強いはずの大阪に経済面で活気がないことが最大の理由です。
現在、大証1部には510数社、2部に200社超、ジャスダックで1000社弱が上場しています。立派なものです。しかし、ここ数年、東京と大阪に重複上場していた企業において大阪市場からの上場廃止を決めるところも増える傾向です。
こうした中で、大阪の新興市場は店頭市場→新2部市場→ヘラクレスなどとして展開し、現在の「ジャスダック」としたことで新興市場における圧倒的地位を固めています。さらに、「株先50」という株式先物の導入を早くに行ったことから今日の「先物市場」の地位も築いています。
★民主・自民推薦候補を破った意味は大きい
直近の大きい出来事では、2014年1月に東証と大証が経営統合し、「日本取引所グループ」を創ることが決まりました。悪く解釈すれば、大阪の武器でもある新興市場と先物市場が東証に吸い取られるということでしょう。東証のいいところ取りです。
一方、良く解釈すれば、東証だけでは世界で競争ができないため、「大証の力を借りる」ということです。ここに、大阪復権の手がかりがあるのではないでしょうか。今やスポーツ界でもプロ野球では、常勝ジャイアンツの影は薄くなり、地方チームに人気が高く、サッカーはまさに地方の時代です。さらに、国土交通省が予想される、「関東直下型地震」に備えて東京に集中する行政機関等をバックアップする「首都機能バックアップ・一部移転」を検討する会議をスタートさせるという方向です。
このように東京も活力が低下する流れの中で、今回の大阪維新の会の勝利です。とくに、府知事、市長とも民主党と自民党の推薦する候補を破っての当選というところに大きい意味があると思われます。もちろん、今回の選挙は東京から見れば、「大阪は大阪のこと」という位置付でしょう。
★政界再編、新政権ならマーケットは好感
しかし、東京も今の政権に対し満足していないことも事実です。むしろ、政権を取ったときの民主党が約束した、「行財政改革」がなに一つ進んでいないにもかかわらず、増税を打ち出していることへの不満は強いものがあります。しかも、亀井代表、渡辺代表、さらに小沢一郎氏が増税に強く反対していることと考え合わせれば、「西から吹く改革の風」が一気に偏西風に乗って東京で強風となる可能性もあります。政界再編につながる可能性も含んでいるといえるのではないでしょうか。とくにTPP、沖縄問題なども重ね合わせると国民は新しい政権で新しい日本を求めているのではないでしょうか。四面楚歌の日本を打破する新政権なら株式マーケットは好感するでしょう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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