【外国為替市場展望:ユーロ・円相場】リスク回避でユーリ売り優勢を想定

2011年9月11日 11:08

【外国為替市場フューチャー:9月12日~16日のユーロ・円相場】

■ギリシャのデフォルト懸念の落ち着きが焦点

  来週(9月12日~16日)のユーロ・円相場については、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念など、ソブリンリスクに対する警戒感の落ち着きが焦点となるが、引き続きリスク回避のユーロ売り・円買い優勢の展開が想定される。9日~10日に開催されたG7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁会議の影響は限定的だろう。

  前週(9月5日~9日)の外国為替市場では、ギリシャのデフォルトに対する警戒感が強まり、主要通貨に対してユーロ売りが加速した。週末9日の海外市場では、ギリシャ政府がデフォルトを宣言するとの噂も広がり、ユーロ・円相場は一時1ユーロ=105円30銭台まで円が上昇し、01年7月以来の円高水準となった。終盤にはギリシャ財務省のデフォルト否定声明を受けて、ややユーロが買い戻されたが、ソブリンリスクに対する警戒感は強い。

  ECB(欧州中央銀行)がイタリアとスペインの国債の購入を開始したことによって、ソブリンリスクに対する過度な警戒感は和らいだ形だったが、その後は、ギリシャ金融支援に関してEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)の合同調査団が審査を中断したため警戒感が強まった。また9日には、ECBのシュタルク専務理事の突然の辞任報道を受けて、金融支援策に関するECB内部の意見対立が警戒された。ギリシャ金融支援に対するユーロ加盟国間の足並みの乱れが顕在化し、ギリシャのデフォルト懸念が強まった形である。

  当面はギリシャのデフォルト懸念の落ち着きが焦点となるが、スペインやイタリアに関する警戒感もくすぶっている。さらに、トリシェECB総裁の「欧州経済の不安定性は極度に高い」との発言で、ユーロ圏のリセッション(景気後退)懸念や利上げ打ち止め観測も広がっているだけに、当面はユーロ売り・円買い圧力が続きそうだ。

■来週の注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、12日の7月第3次産業活動指数、8月企業物価指数、7~9月期法人企業景気予測調査、日銀金融政策決定会合議事要旨、13日の臨時国会召集、14日の7月鉱工業生産確報、8月首都圏マンション発売戸数などがあるだろう。

  海外では、12日の豪7月貿易収支、米3年債入札、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁の講演、13日の英7月貿易収支、英8月消費者物価指数、仏7月経常収支、仏8月消費者物価指数、米8月輸出入物価、米8月財政収支、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、米10年債入札、14日の英7月失業率、ユーロ圏7月鉱工業生産、米7月企業在庫、米8月卸売物価指数、米8月小売売上高、米住宅ローン借り換え申請指数、米30年債入札、ニュージーランド中銀金利発表、15日の豪中銀四半期報告、スイス中銀金融政策発表、英8月小売売上高、ユーロ圏8月消費者物価指数改定値、北米8月半導体BBレシオ、米8月消費者物価指数、米8月実質所得、米8月鉱工業生産、米9月ニューヨーク州製造業業況指数、米9月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米第2四半期経常収支、米新規失業保険申請件数、ラガルドIMF専務理事の講演、16日のユーロ圏7月経常収支、ユーロ圏7月貿易収支、EU財務相非公式理事会(17日まで)、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、などがあるだろう。

  なお12日は中国、台湾、韓国、13日は韓国、香港が休場となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【話題株】東証1部指定替えのSHOーBIは需給悪化懸念を織り込み続伸(2011/09/10)
【東日本大震災から6ヶ月】フシ目のマーケットを検証=犬丸正寛(2011/09/10)
犬丸正寛の相場格言~データでは説明できない先人の知恵をもとに株式投資で大成功~(2011/08/10)
株式表隣家・浅妻昭治のマーケットセンサー(銘柄発掘の王道を伝授・注目株厳選)メルマガがスタート!登録受付中(2011/06/22)

関連記事

最新記事