【外国為替市場を検証:ドル・円相場】引き続き1ドル=76円台~77円台で膠着感
2011年9月10日 20:24
【外国為替市場フラッシュ:9月5日~9日の週のドル・円相場】
■ドル買い・円売りがやや優勢
9月5日~9日の週のドル・円相場は、引き続き概ね1ドル=76円台後半~77円台半ばのレンジで小動きだった。リスク回避のドル売り・円買い圧力、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入への警戒感などが交錯する状況が続き、円高水準で膠着感を強めた。ただし週末9日の海外市場では一時1ドル=77円80銭台に円が下落する場面もあった。ギリシャ債務問題に対する警戒感が強まり、ユーロ売り・ドル買いが加速した流れで、ドル・円相場ではドル買い・円売りがやや優勢になった。
ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末2日の海外市場では、米8月雇用統計で非農業部門雇用者の増加数が0万人となり、市場予想を下回ったため一時1ドル=76円50銭台に上昇したが、その後は概ね1ドル=76円70銭台~80銭台の狭いレンジでモミ合う展開だった。米国市場の3連休を控えて様子見ムードも強めた。
この流れを受けて週初5日の東京市場では様子見ムードも強く、概ね1ドル=76円60銭台~90銭台の小幅レンジでモミ合う展開だった。終盤はユーロ売りの流れでドル買いがやや優勢になった。5日の海外市場でも概ね1ドル=76円70銭台~90銭台の小幅レンジで推移した。ユーロ売り・ドル買いの流れが波及してドル買いがやや優勢だった。
6日の東京市場でも1ドル=76円70銭台~90銭台で推移し、ドル売りがやや優勢の展開だった。6日の海外市場では1ドル=77円台後半に円が下落した。東京市場終了後に、スイス国立銀行(中央銀行)がスイスフラン高の抑制策を発表したため、スイスフランが急落した。このためドル・円相場でも円高抑制策への思惑などからドル買い・円売りが優勢となった。ドル買い一巡後には1ドル=77円近辺に円が上昇する場面もあったが、その後は概ね1ドル=77円50銭台~70銭台で推移した。
7日の東京市場では1ドル=77円台半ばでスタートしたが、日銀金融政策決定会合で追加緩和策が見送られたため、終盤はドル売り・円買いがやや優勢となり1ドル=77円00銭台~20銭台に円が上昇した。7日の海外市場では1ドル=77円00銭台~40銭台で小動きだった。8日のオバマ米大統領の景気・雇用対策に関する議会演説や、バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長の講演などを控えて、様子見ムードを強めた。米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「いくつかの地域で活動が弱含んでいる」との判断が示されたが、市場の反応は限定的だった。
8日の東京市場では1ドル=77円20銭台~40銭台で小動きだった。ECB(欧州中央銀行)理事会、バーナンキ米FRB議長の講演、オバマ米大統領の景気・雇用対策に関する議会演説、G7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁会議(9日~10日)といったイベントを控えて、様子見ムードの強い展開だった。7月機械受注や8月景気ウォッチャー調査は低調だったが、市場の反応は限定的だった。8日の海外市場では1ドル=77円10銭台~50銭台で推移した。ECB理事会後の記者会見で、トリシェECB総裁が「欧州経済の不安定性は極度に高い」と発言したためユーロ売りが加速し、ドル・円相場でもドル買い・円売りが優勢になった。米新規失業保険申請件数が予想以上に増加し、バーナンキ米FRB議長の講演で追加金融緩和に関する具体的な内容が示されなかったが、市場の反応は限定的だった。
9日の東京市場では、G7財務相・中央銀行総裁会議を控えて様子見ムードが強く、1ドル=77円40銭台~50銭台の狭いレンジでモミ合う展開だった。オバマ米大統領が発表した約4470億ドルの景気・雇用対策は予想を上回る規模だったが、米議会での審議難航が避けられないとの見方が優勢のため市場の反応は限定的だった。日本の4~6月期実質GDP(国内総生産)下方修正などの影響も限定的だった。9日の海外市場では1ドル=77円10銭台~80銭台で推移した。シュタルクECB専務理事の突然の辞任報道や、ギリシャのデフォルト(債務不履行)の噂などで、ユーロ売り・ドル買いが加速した流れが波及し、ドル買い・円売りが先行した。しかし米国株式市場の大幅下落を受けて、リスク回避の円買いが優勢となる場面もあった。終盤は1ドル=77円50銭近辺で推移した。
世界的なリセッション(景気後退)やソブリンリスクに対する警戒感が強い状況に変化はなく、ドル・円相場もリスク回避のドル売り・円買い圧力、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入への警戒感などが交錯し、円高水準で膠着感の強い展開が続いている。8月26日のバーナンキ米FRB議長のジャクソンホール・シンポジウムでの講演、9月2日の米8月雇用統計、8日のオバマ米大統領の景気・雇用対策などの重要イベントを通過しても、結果的には大きな動きが見られない。ギリシャ債務問題などでユーロ・ドル相場の動きに注意が必要だが、ドル・円相場は20日~21日の米FOMC(連邦公開市場委員会)まで動きにくい状況が続きそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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