相場と金(かね)は貪欲で臆病=犬丸正寛の相場格言

2011年9月9日 10:33

■相場と金(かね)は貪欲で臆病

  お金(かね)というものは1円でも有利なところを求めて貪欲に動きます。しかし、一方で少しでも危険を感じとったらすぐに逃げ出します。相場の世界もまったく同じなので、このことをよく肝に命じて取り組みなさいという教えです。

  こうした雰囲気は金銭感覚に鋭い女性の方が実感として分かりやすいと思います。女性の場合、チラシなどで同じ品物が10円も違うと数キロくらい遠くでも、安い店に出かけて行きます。この点、男性の場合は、夢とかロマンといった大きい話を先行させることが多く、10円、20円の差は馬鹿にしてしまうところがあります。この意味では、この格言は男性に当てはまる言葉だろうと思います。

  とくに、「為替相場」において、お金の貪欲さと臆病さの両方をはっきり見ることができます。ある国の金利が上昇し始めたとしますと、国境を跨いで動き回っている資金は見逃しません。金利の高いその国に入っていきます。今まで保有していた通貨を売って、金利の高い通貨を買うのですから、金利を引き上げた国の通貨、つまりその国の為替相場は高くなります。世界を駆け回る資金は非常に額が大きいためコンマ数パーセント金利が違うだけで大変な儲けの差になりますから金利に対してはことのほか貪欲です。女性の少しでも安い値段のチラシ感覚です。

  多くの場合、インフレを抑えるために金利を引き上げます。しかし、仮に強烈に物価が上がるということは、その国に、「物を供給できる能力がない」か、あるいはその国が「世界に輸出できる得意な物を持っていないため資金不足から必要な物を購入できない」か、という問題があります。とくに、世界で外貨を獲得できる強い製品等を持っていない場合は、往々にして政治が不安定で国民に勤勉さがなくなっていることが多いのです。いつ、その国で政情不安が起きて、デフォルト(債務返済不履行)になるか分からない不安があります。

  つまり、金利の高いことだけに目が行っていると、元金まで無くすことにもなりかねません。ここにお金の臆病さがあるわけです。仮に、名もない筆者が3割の利息を払うから1億円貸して欲しいといっても、誰も相手にしてくれません。元金が返って来なくなる心配があるからです。

  しかし、世の中には、金利の高いことをエサにした悪質商法の報道が後を絶ちません。金利が高いことは信用がないことであり安心できません。少しでも有利なものを求める気持ちは大切ですが、お金が本来持って持っている「臆病さ」も忘れないようにしましょう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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