銀行が頭を下げても貸したい会社、高い金利でも貸したくない会社:第6回 会社を成長させるための事業計画の書き方 その3

2011年8月25日 14:59

~事業計画作成メンバーをしっかり選定しましょう~

■事業計画の作成目的をふまえ、事業計画作成メンバーを選びます
 事業計画は文字通り事業あるいは会社全体の今後の計画を具体化するわけですので、とても重要な取り組みです。前回(第5回)書きました。

 「事業計画作成の目的:
 (1)メイン金融機関○○銀行へ事業計画を提出することで、当社への理解を深め、資金調達面での良好な関係を維持する
 (2)および、折角の機会なので事業計画作成を通じて幹部社員の育成を図る」
 が事業計画作成の目的であれば、経営者ご自身だけでなく経営幹部として育成したい社員数名を選び、事業計画作成メンバーとします。

 もし仮に外部のコンサルタントを活用するのであれば、コンサルタントとの連絡窓口も明確にします。連絡窓口は経営者が理想ですが、経営者が多忙であれば、あるいは事業計画作成を通じて経営に対する意識を高めつつ、プロジェクトを推進する経験を積ませたいのであれば他の事業計画作成メンバーでも構いません。

 この場合、単なる連絡窓口でなく、実質的に事業計画作成プロジェクトのリーダーとしての責務も伴いますので、メンバーをまとめるリーダーシップが求められるだけでなく、経営者との報連相や、事業計画に関する様々な資料の作成スキルも求められます。

■事業計画作成メンバーに対する期待や動機付けを明確に伝えます
 大手企業の経営企画室は事業計画作成が本業の一つですが、中小企業の場合、事業計画作成は基本的に本業ではなく、他の担当業務をこなしながら事業計画作成に関係することになります。

 また、事業計画作成メンバーは社内でも比較的仕事ができる人を選定することが多いので、このような人は通常業務でも多くの仕事を抱えていることが常です。

 よって「メイン金融機関○○銀行へ事業計画を提出することで、当社への理解を深め、資金調達面での良好な関係を維持したい」といった会社としての目的だけでなく、事業計画作成リーダーAさんとメンバーのBさんに対し例えば「今回の事業計画作成を通じて、Aさんはマーケティング戦略を具体化する手法とコスト計算などの管理会計に対する理解を深めて欲しい」「BさんはリーダーのAさんを支援しながら、中長期的な事業戦略をふまえ、人材育成と採用の水準向上や各担当者の顧客対応の水準向上など組織の視点で今以上にアイディアを出せるようになって欲しい」といった個々人のレベルアップやスキルアップに寄与する機会であるといった事業計画作成メンバーに対する期待や動機付けを明確に伝えます。

 事業計画作成は売上増やコスト削減など直接成果が分かる業務ではありませんので、事業計画作成メンバーに対するこのような目配りが大切です。

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