【株式市場・この1週間】週末の日経平均終値は3月15日以来の安値水準
2011年8月20日 18:59
■株式市況を振り返って(8月15日~19日の株式市場の動き)
★輸出関連セクター主力株の売りが継続
15日は、日経平均株価が前週末(12日)比122円69銭(1.37%)高で3営業日ぶり反発、TOPIXが前週末比8.93ポイント(1.17%)高で3営業日ぶり反発した。前週末12日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比125ドル71セント(1.13%)上昇した。米8月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は悪化したが、米7月小売売上高が2カ月連続で増加したことや、欧州4カ国の株式市場で銀行株に対する空売り規制が実施されたことで安心感が広がり、買い戻しが優勢になった。この流れを受けて日経平均株価は前週末比118円81銭高と買い先行でスタートした。寄り付き直後には前日比153円39銭高まで上昇幅を広げた。日本の4~6月期実質GDP(国内総生産)1次速報値が前期比0.3%減(年率換算1.3%減)で、市場予想ほど悪化しなかったことも好感した。しかし買い一巡後は上値の重い展開となった。外国為替市場で円が高止まりしていることもあり、一時は前日比69円12銭高まで上昇幅を縮小する場面もあった。大引けにかけては株価指数先物取引が主導する形で値を戻し、日経平均株価は終値で3営業日ぶりに9000円台を回復した。東証1部の値上がり銘柄数は1130(全体の68%)に達したが、売買代金は1兆373億円にとどまった。セクター別には、売り込まれていた輸出関連セクターの主力株の買い戻しが目立ち、指数寄与度の高い銘柄の上昇が指数を押し上げる展開だった。
16日は、日経平均株価が前日比21円02銭(0.24%)高で小幅に続伸、TOPIXが前日比1.94ポイント(0.25%)高で小幅に続伸した。前日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比213ドル88セント上昇し、3営業日続伸した。米グーグルによる米モトローラ・モビリティの買収(総額125億ドル)など、M&Aの活発化を好感した。この流れを受けて日経平均株価は前日比48円65銭高と買い先行でスタートした。寄り付きの買い一巡後は伸び悩む展開となり、徐々に上昇幅を縮小した。午後に入ると様子見ムードが広がり、一段と膠着感を強めた。外国為替市場での円の高止まりや、米国株価指数先物取引の下落も弱材料となった。日経平均株価は前日終値を挟む小幅レンジでモミ合う展開となったが、終値では小幅に続伸し、8月5日(9299円88銭)以来となる9100円台を回復した。東証1部市場の値上がり銘柄数は932(全体の56%)で、売買代金は1兆696億円だった。セクター別には、機械、電機、半導体関連、自動車など、売り込まれていたハイテク・輸出関連セクターの買い戻しが先行したが、主力銘柄の中には次第に値を崩すものも目立った。
17日は、日経平均株価が前日比50円17銭(0.55%)安で3営業日ぶりに反落、TOPIXが前日比2.41ポイント(0.31%)安で3営業日ぶりに反落した。前日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比76ドル97セント安と4営業日ぶりに反落した。米7月鉱工業生産指数が市場予想以上だったことを好感したが、ユーロ圏4~6月期実質GDP(国内総生産)が低調だったことで欧州景気の先行きに対する警戒感が強まった。注目された独仏首脳会談後の共同記者会見の内容も、ユーロ共同債や欧州金融安定基金(EFSF)の増額に否定的だったため、市場不安を和らげるには不十分という見方が広がった。こうした流れを受けて日経平均株価は前日比59円54銭安と売り先行でスタートした。外国為替市場で円が高止まりしていることも弱材料視され、午前の終盤には前日比103円73銭安まで下落幅を広げた。午後に入ると徐々に下落幅を縮小し、日経平均株価は終値で9000円台を維持した。東証1部市場の値下がり銘柄数が766(全体の46%)で値上がり銘柄数を上回り、売買代金は1兆211億円と低水準だった。セクター別には、SNSなどネット関連の活況が続く一方で、自動車や半導体関連の下落が目立ち、輸出関連セクターが総じて軟調だった。
18日は、日経平均株価が前日比113円50銭(1.25%)安で続落、TOPIXが前日比9.34ポイント(1.20%)安で続落した。前日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比4ドル28セント高と小幅に反発したが、米景気先行きに対する警戒感が強く、方向感に欠ける展開だった。この流れを受けて日経平均株価は前日比14円08銭安と売り先行でスタートした。買い手掛かり難の中、外国為替市場で円が高止まりしていることが弱材料視され、徐々に下落幅を広げた。午後に入ると、アジアの主要株式市場の下落や、米国株式指数先物取引の下落も弱材料視された。日経平均株価は株価指数先物取引が主導する形で前日比126円01銭安まで下落幅を広げる場面もあった。結局この日の安値圏で取引を終了し、4営業日ぶりに9000円台を割り込んだ。東証1部市場の値下がり銘柄数は1122(全体の67%)で、売買代金は1兆1715億円だった。セクター別には、前日と同様にSNS関連など内需関連セクターの一角が上昇したが、機械、電機、自動車など輸出関連セクターの主力株が総じて軟調だった。
19日は、日経平均株価が前日比224円52銭(2.51%)安で大幅に3営業日続落、TOPIXが前日比15.62ポイント(2.03%)安で大幅に3営業日続落した。前日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比419ドル63セント安と大幅反落した。ウォールストリート・ジャーナル紙が「米FRB(連邦準備制度理事会)が欧州系銀行の米国部門に対する監視を強めている」と報じたことで、欧州ソブリンリスクが米国の金融機関にも波及するとの警戒感が強まった。米7月中古住宅販売件数、米8月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米新規失業保険申請件数などの経済指標が低水準だったことも弱材料だった。原油先物価格も急落した。リスク回避の動きが強まり、米国10年債利回りは一時、史上初めて2%を下回った。こうした流れを受けて日経平均株価は前日比172円06銭安と売り先行でスタートし、売り一巡後は一進一退の展開となった。午後に入ると、日銀のETF購入に対する期待感などで下落幅をやや縮小した。しかし、週末要因やアジアの主要株式市場の下落に加えて、14時36分頃に宮城県沖を震源とする強い地震が発生して津波注意報が出されたことも影響し、大引けにかけて株価指数先物取引が主導する形で再び下落幅を広げ、この日の安値圏で取引を終了した。日経平均株価の終値は8719円24銭で3月15日(8605円15銭)以来の安値水準、TOPIXの終値は751.69で3月15日(766.73)を下回って年初来安値を更新した。東証1部市場の値下がり銘柄数は1324(全体の79%)で、売買代金は1兆3629億円だった。セクター別には、輸出関連セクターの主力株への売りが継続し、活況だったSNS関連も利益確定売りが優勢になった。なお日銀はETF購入(256億円)を実施した。
19日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比172ドル93セント(1.57%)下落、S&P500株価指数が前日比17.12ポイント(1.50%)下落、ナスダック総合株価指数が前日比38.59ポイント(1.62%)下落した。ダウ工業株30種平均株価は売り先行でスタートした後、値ごろ感などで上昇に転じる場面もあったが、世界的なリセッション(景気後退)懸念やソブリンリスクに対する警戒感などでリスク回避の動きが強まり、再び下落に転じて大幅続落となった。パソコン最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)が急落したことも、相場押し下げ要因だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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