【外国為替市場を検証:ドル・円相場】戦後最高値を更新!短期筋がドル売り・円買いに動く
2011年8月20日 18:59
【外国為替市場フラッシュ:8月15日~19日の週のドル・円相場】
■75円95銭まで円が上昇
8月15日~19日の週の外国為替市場でドル・円相場は、リスク回避のドル売り・円買い圧力と、円売り市場介入への警戒感が交錯する形で、概ね1ドル=76円台半ば~後半の水準でモミ合う展開だった。しかし週末19日の海外市場で1ドル=75円95銭まで円が上昇し、3月17日に付けた1ドル=76円25銭を突破して戦後最高値を更新した。円売り市場介入が当面は実施されないとの観測が広がり、短期筋がドル売り・円買いに動いたとみられている。
ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末12日の海外市場では、米国株高を受けて警戒感がやや和らぎ、概ね1ドル=76円50銭近辺~90銭近辺でモミ合う展開だった。この流れを受けて週初15日の東京市場では、1ドル=76円80銭台~77円00銭台で小動きだった。日本の4~6月期実質GDP(国内総生産)1次速報値は、前期比0.3%減(年率換算1.3%減)で市場予想ほど悪化しなかったが、反応は限定的だった。15日の海外市場でも手掛かり材料難となり、1ドル=76円60銭台~80銭台の小幅レンジでモミ合う展開だった。
16日の東京市場では、独仏首脳会談を控えて様子見ムードを強め、1ドル=76円70銭台~90銭台で小動きだった。16日の海外市場では、格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債を最上級に据え置いたことや、米7月鉱工業生産指数が市場予想を上回ったことでドル買い優勢の場面もあったが、概ね1ドル=76円60銭台~90銭台で推移した。注目された独仏首脳会談後の共同記者会見では、ユーロ共同債や欧州金融安定基金(EFSF)の増額に否定的だったことなどで、市場不安を和らげるには不十分という見方が広がった。ただし市場への影響は限定的だった。
17日の東京市場では、ドル売りがやや優勢だったが、概ね1ドル=76円50銭台~80銭台で小動きだった。手掛かり材料難のうえに夏季休暇で薄商いだった。17日の海外市場では、ドル売り圧力が強まり一時1ドル=76円41銭まで円が上昇した。その後は円売り市場介入への警戒感が強まり、概ね1ドル=76円40銭台~60銭台でモミ合う展開だった。18日の東京市場では、1ドル=76円50銭台~70銭台の小幅レンジで膠着感を強め、18日の海外市場でも、1ドル=76円40銭台~60銭台の小幅レンジで膠着感を強めた。
19日の東京市場では、円売り市場介入に対する警戒感で1ドル=77円近辺に円が下落する場面もあったが、概ね1ドル=76円40銭台~70銭台で推移した。19日の海外市場では、ドル売り・円買いの動きが加速した。一時は1ドル=75円95銭まで円が上昇し、3月17日の1ドル=76円25銭を突破して戦後最高値を更新した。円売り市場介入が当面は実施されないとの観測が広がり、短期筋がドル売り・円買いに動いたとみられている。その後は円売り市場介入への警戒感が強まり、1ドル=76円50銭近辺に円が下落した。
世界的なリセッション(景気後退)に対する警戒感、欧州ソブリンリスクの拡大や米国金融機関への波及懸念が強いうえに、米国10年債利回りが史上初めて2%を下回るなど量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑もあり、ドル売り・円買い圧力は依然として強い。円売り市場介入に対する警戒感で一時的に膠着感を強めていたが、週末19日の海外市場では円が戦後最高値を更新した。世界の金融市場の関心は、26日予定のジャクソンホールでの講演でバーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長が、量的緩和策第3弾(QE3)を示唆するかどうかに集まっており、ドル売り・円買い圧力が増す可能性も考えられる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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