日立と理研が、原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡を用いて世界最高分解能0.67nmでの磁場観察に成功

プレスリリース発表元企業:Hitachi, Ltd.

TOKYO, Dec 6, 2017 - ( JCN Newswire ) - 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)と国立研究開発法人理化学研究所(理事長:松本 紘/以下、理研)は、日立の原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡を用いた観察精度向上技術を開発し、材料(磁性多層膜*1)内部の磁場分布を0.67nm*2の世界最高分解能で観察することに成功しました(図1)。本技術により、磁石、電磁鋼板、磁性薄膜などの高機能材料の特性に大きく関わる、物質間の境界で生じる磁場の方向、強さを数原子レベルで観察可能となります。今後、日立と理研は、こうした原子レベルでの極微小領域で起きている磁気現象の解明を通して、高性能磁石や高温超伝導材料などの高機能材料の開発と、基礎科学の発展への貢献をめざします。

電子機器や電池、モーターをはじめとした部品の性能向上のためには、高機能材料のさらなる開発が必要です。例えば、磁性材料の性能は、複数の元素の組み合わせにより発生する磁場特性と密接に関係しており、近年は物質の境界における原子レベルの磁場が特異な振る舞いを起こすことも注目されているため、材料内部の磁場を原子レベルの超高分解能で観察する技術が求められています。これまで日立は、微小領域の電場や磁場を直接観察できる装置として、ホログラフィー電子顕微鏡の開発を1966年から進めており、2014年には、「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」の助成により原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡を開発しています(図2)。しかし原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡では、電場と磁場が混在して観察されてしまいます。そのため、これまで磁場のみを観察する場合には、電場情報のみを分離するために、一度観察した後、観察する材料を180度反転させたり、材料の温度を上げたりしてから再度観察する手法を用いる必要があり、その影響により、観察結果の解像度が大きく下がることが課題でした。

そこで今回、日立と理研は、原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡で高解像度の磁場観察を実現するために、電場情報を高精度に分離する技術を開発しました。技術の特長は以下の通りです。

1. 材料の磁場を反転させることで電場情報を除去する、パルス磁化反転を用いた技術

材料に極性の異なる高強度パルス磁場*3を交互に加えて、材料の磁化方向(N極、S極の向き)だけを反転させる技術を開発しました。これにより磁化反転前後の観察結果の差分から、高精度に電場情報のみを取り除くことが可能になります。

2. パルス磁場の影響の補正技術

上記方法で高強度パルス磁場を加えると、電子顕微鏡の状態が変化して電子線の軌道が変わり、観察視野や焦点がずれてしまいます。そこで、高強度パルス磁場の影響を考慮して観察条件を自動補正する技術を開発しました。これにより、高分解能、低ノイズな観察を連続して実施可能です。

今回、本技術を原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡に適用して、磁性多層膜を観察した結果、世界最高性能となる0.67nmの分解能で、材料内部の磁場分布を高精度*4に観察することに成功しました。

今後、日立と理研は、本技術を活用することで、持続可能な社会を支える新材料の開発をめざします。また、文部科学省先端研究基盤共用促進事業(共用プラットフォーム形成支援プログラム)の支援を通じて、本装置を共同利用し、科学技術の発展に貢献していきます。本成果は、英国科学誌「Scientific Reports」オンライン版(2017年12月5日付:日本時間12月5日)に発表されました*5。

なお、本開発の一部は、最先端研究開発支援プログラムにより、独立行政法人日本学術振興会(理事長:安西 祐一郎)を通じた助成、および国立研究開発法人科学技術振興機構(理事長: 濵口道成)の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」(研究総括:雨宮 慶幸 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 特任教授)における研究課題「AIと大規模画像処理による電子顕微鏡法の技術革新」(研究代表者:村上 恭和 九州大学 大学院工学研究院 教授)(研究期間:平成28~33年度)の支援を受けたものです。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/12/1206.html

概要:日立製作所

詳細は www.hitachi.co.jp をご参照ください。

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