第38回「石橋湛山賞」受賞作決定

プレスリリース発表元企業:株式会社東洋経済新報社

配信日時: 2017-08-21 17:00:00

 2017年度・第38回の「石橋湛山賞」(石橋湛山記念財団主宰、東洋経済新報社、経済倶楽部後援)受賞作は、千葉大学法政経学部教授の水島治郎氏による『ポピュリズムとは何か――民主主義の敵か、改革の希望か』(中央公論新社、2016年12月刊)に決定いたしました。全国の有識者からご推薦いただいた40を超える著作・論文の中から、厳正なる審査を経て選出されました。
 ポピュリズムは日本では「大衆迎合主義」とも訳され、ともすれば自由と民主主義の脅威として非難されがちです。
 しかし、「現代デモクラシーを支える『リベラル』な価値、『デモクラシー』の原理を突きつめれば突きつめるほど、結果として、ポピュリズムを正統化することになる」と水島氏はいいます。
 オランダ政治史を専門とする著者は、ヨーロッパ、ラテンアメリカでのポピュリズムの誕生と発展を精緻に分析し、ポピュリズムが、政治から排除されてきた周縁的集団の政治参加を促進、政治革新をもたらしたプラス面を評価するとともに、排外主義や独裁政治につながりかねないマイナスの側面をも明らかにしました。
 日本でも既存政治への不信が募るなか、ポピュリズム的現象と直面しつつあり、本書のもつ価値はきわめて高いものがあるといえます。
 授賞式は10月2日(月)、また記念講演(経済倶楽部主催)は11月10日(金)に東洋経済ビルで行われます。


水島 治郎 著『ポピュリズムとは何かーー民主主義の敵か、改革の希望か』(中央公論新社、2016年12月刊)
水島 治郎(みずしまじろう)氏 略歴
1967年東京都生まれ。東京大学教養学部卒業、99年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。日本学術振興会特別研究員、甲南大学法学部助教授、千葉大学法経学部教授などを経て、現在、千葉大学法政経学部教授。専攻はオランダ政治史、ヨーロッパ政治史、比較政治。著書に『戦後オランダの政治構造——ネオ・コーポラティズムと所得政策』(東京大学出版会、2001年)、『反転する福祉国家——オランダモデルの光と影』(岩波書店、2012年、第15回損保ジャパン記念財団賞受賞)、編著に『保守の比較政治学』(岩波書店、2016年)など。

授賞式
日時:2017年10月2日(月)11時~
記念講演
日時:2017年11月10日(金)13時~(会員制)
会場:東洋経済ビル9階 経済倶楽部ホール(東京都中央区日本橋本石町1-2-1)

「石橋湛山賞」について
 石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団により、東洋経済新報社と経済倶楽部の後援の下に、1980年に創設されました。政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られています。
 政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員による選考委員会が授賞候補を十数点に絞ります。この中から選考委員の奥村洋彦(学習院大学名誉教授)、叶芳和(経済評論家)、田中秀征(福山大学客員教授)、増田弘(立正大学法学部特任教授)、山縣裕一郎(東洋経済新報社 代表取締役社長) 各氏の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。

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