C型肝炎治療薬:ベーリンガーインゲルハイムの ファルダプレビル*が欧州医薬品庁から迅速審査に指定される

プレスリリース発表元企業:ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社

配信日時: 2013-12-05 19:00:00

・ 迅速審査は、公衆衛生および治療上の革新性の観点から多大な貢献が期待される医薬品に対して指定1
・ 多様なジェノタイプ1型のHCV感染患者におけるファルダプレビル*とペグインターフェロン/リバビリン(PegIFN/RBV)の併用療法の有効性および安全性を示すため、主に第3相臨床試験STARTVerso(TM)のデータに基づいて承認申請2,3,4

*ファルダプレビルは開発中の新規化合物であり、いずれの国においてもまだ承認されていません。またその安全性および有効性はまだ完全には確立されていません。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が11月26日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。


2013年11月26日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、強力な第二世代プロテアーゼ阻害剤ファルダプレビルの欧州販売承認申請書類が欧州医薬品庁(EMA)により、迅速審査の指定を受けたことを11月26日に発表しました5,6。
ベーリンガーインゲルハイムは、HIVに重複感染している患者や肝疾患が進行した患者を含めた多様なジェノタイプ1型(GT-1)のHCV感染患者の治療適応で、ペグインターフェロン/リバビリン(PegIFN/RBV)との併用療法にてファルダプレビルの販売の承認申請をしています。
ベーリンガーインゲルハイム医薬開発担当上級副社長のProf. クラウス・デュギは次のように述べています。「ファルダプレビルは、医師が日々の臨床現場で診察する患者の特色を反映した多様な患者3,300人以上を対象に、ペグインターフェロン/リバビリンとの併用療法で検討されました。ファルダプレビルは高い有効性と良好な安全性プロファイルを示すと同時に、1日1回投与という利便性を有し、食事摂取に関する制約もありません。EMAによって迅速審査に指定されたことにより、現在承認申請中のファルダプレビルが承認された際には、現行のC型肝炎治療薬の重要な代替治療になるという私たちの立場が支持されることになります」。
EMA販売承認の申請書類はファルダプレビルの総合的な臨床開発プログラムに基づいて作成され、特に第3相臨床試験STARTVerso(TM)のデータに焦点を当てて作成されました。同試験のデータは先般、第64回米国肝臓病学会(American Association for the Study of Liver Diseases: AASLD)年次会議にて発表されました。試験には以下の患者を対象としたデータが含まれています。
・ 未治療患者(その大多数が治療期間を短縮でき、ウイルス学的著効を達成した)2
・ HIVに重複感染している患者4や肝疾患が進行した患者2,3など、治癒困難な患者集団
・ Q80Kの遺伝子多型を持つ患者(この遺伝子変異は他の第2世代プロテアーゼ阻害剤の有効性に影響するとされている)2
・ 前治療で再燃(Relapser)/部分奏効(Partial responder)/無効(Null responder)の患者3

ファルダプレビルは、ベーリンガーインゲルハイムのC型肝炎治療薬パイプラインの基盤となるものであり、インターフェロンベース(インターフェロンを併用する)のレジメンとインターフェロンフリー(インターフェロンを併用しない)のレジメンで開発が進められています。ファルダプレビルについてはインターフェロンベースのレジメンで販売承認申請をしていますが、それに加え、ベーリンガーインゲルハイムはC型肝炎治療薬として初のインターフェロンフリーのレジメンのひとつとして誕生させることを目指しています。目標とするのは、多様なC型肝炎患者に向けてインターフェロンフリーの未来を実現することです。ファルダプレビル、deleobuvir**にリバビリンを加えたインターフェロンフリーのレジメンについて検討する第3相ピボタル試験HCVerso(R)のデータは2014年に得られる予定です。

**Deleobuvirは開発中の新規化合物であり、いずれの国においてもまだ承認されていません。またその安全性および有効性はまだ完全には確立されていません。


参考情報
ベーリンガーインゲルハイムのHCV感染治療に関する情報は、ウェブサイトwww.newshome.comで入手いただけます。HCV感染治療に関する情報をまとめた報道関係者向けの総合情報ウェブサイトです。


HCV感染について
HCV感染は、肝臓内で生存・複製するHCVによって生じる血液感染性疾患です。HCV感染は、慢性肝疾患、肝臓がん、肝移植の主因となっています7。C型慢性肝炎は公衆衛生上の大きな問題となっているほか、世界全体で最も罹患者の多い感染性疾患のひとつであり、約1億7,000万人が罹患し8、年間300~400万人が新たに感染しています 9。
HCV感染は最初に特異的な症状がみられないため、診断されないまま経過していることがよくあります。そのため、大多数の患者は、医師のもとを初めて訪れたときには症状が出ているか、すでに肝疾患を患っている状態です10。肝疾患が進行した患者さんは治癒が困難であり、現行の標準治療よりも効果的かつ忍容性の高い治療選択肢が緊急に必要とされています。
C型慢性肝炎患者のうち、20%が肝硬変を発症し、そのうち2~5%が毎年死亡します。HCV感染により進行した肝疾患は現在、欧米諸国における肝移植の主因となっています11。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業の1つです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で140の関連会社と46,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

ベーリンガーインゲルハイムにとって、社会的責任を果たすことは、企業文化の最も重要な柱です。事業を展開する世界の国々において、社会問題に取り組み、社員とその家族を思いやり、全社員に平等な機会を提供することが、 ベーリンガーインゲルハイムの基盤です。そして、尊重と誠実を重んじ、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて貢献することが、ベーリンガーインゲルハイムの本質であり使命です。

2012年度は147億ユーロ(約1兆5,086億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の22.5%相当額を研究開発に投資しました。

日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/ 
(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp/    
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)


References

1 European Medicines Agency Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP) Guideline on the procedure for accelerated assessment pursuant to article 14 (9) of regulation (EC) No 726/2004

2 Jensen, D. et al. A pooled analysis of two randomized, double-blind placebo-controlled Phase III trials (STARTVerso1&2) of faldaprevir plus pegylated interferon alfa-2a and ribavirin in treatment- naïve patients with chronic hepatitis C genotype-1 infection. Presented at The Liver Meeting(R), the 64th Annual Meeting of the American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD),1 - 5 November, 2013

3 Jacobson, I. et al. STARTVerso3: A randomized, double-blind, placebo-controlled Phase III trial of faldaprevir in combination with pegylated interferon alfa-2a and ribavirin in treatment-experienced patients with chronic hepatitis C genotype-1 infection. Presented at The Liver Meeting(R), the 64th Annual Meeting of the American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD),1 - 5 November, 2013

4 Rockstroh, J. et al. STARTVerso 4 Phase III trial of faldaprevir plus peg interferon alfa-2a and ribavirin (PR) in patients with HIV and HCV genotype 1 co-infection: end of treatment response. Presented at The Liver Meeting(R), the 64th Annual Meeting of the American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD),1 - 5 November, 2013

5 Boehringer Ingelheim Data on file. European Medicines Agency, Human Medicines Evaluation Division. (Faldaprevir Boehringer Ingelheim, Boehringer Ingelheim International GmbH). Submission validation, 21 November, 2013

6 Boehringer Ingelheim Data on file. European Medicines Agency, Human Medicines Evaluation Division. (Faldaprevir Boehringer Ingelheim, Boehringer Ingelheim International GmbH). Accelerated assessment acceptance, 12 November, 2013

7 World Health Organisation. Hepatitis C. 2002 http://www.who.int/csr/disease/hepatitis/Hepc.pdf [Last accessed on 21/10/13]

8 Centers for Disease Control and Prevention (2012) Hepatitis C available at: http://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2012/chapter-3-infectious-diseases-related-to-travel/hepatitis-c.htm [Last accessed on 21/10/13]

9 World Health Organisation. Hepatitis C Fact Sheet. Updated July 2012 http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs164/en/index.html [Last accessed on 21/10/13]

10 Chen S.L., Morgan T.R. The Natural History of Hepatitis C Virus (HCV) Infection. Int J Med Sci 2006; 3:47-52. Available from http://www.medsci.org/v03p0047.htm [Last accessed on 21/10/13]

11 Soriano, Vincent et al. New Therapies for Hepatitis C Virus Infection. Clinical Infectious Disease, February 2009

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