神鋼商事、27年3月期増収増益・連続増配予想、鋼材価格の下期上昇と半導体装置関連回復が寄与

2026年5月25日 07:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 神鋼商事<8075>(東証プライム)はKOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社として鉄鋼、アルミ・銅、原料、機械、溶接分野に展開し、重点分野と位置付けているEV・自動車軽量化関連および資源循環型ビジネス関連の拡大を推進している。26年3月期は鉄鋼ユニットにおける建設向け鋼板取扱量減少や鋼材価格下落などが影響して減収減益だが、配当は増配とした。27年3月期は増収増益・連続増配予想としている。鋼材価格の下期からの上昇、半導体装置関連の回復、カーボンニュートラル関連の機械・設備需要の増加などを見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は2月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが調整一巡感を強めている。低PER、高配当利回り、低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。

■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社

 神戸製鋼所<5406>系で、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社として鉄鋼(特殊鋼・鋼板製品等)、アルミ・銅(銅製品、アルミ製品、非鉄金属地金・スクラップ等)、原料(鉄鋼原料、資源循環ビジネスの鉄スクラップ・バイオマス燃料等)、機械(製鉄・非鉄機械、化学機械、環境関連機器、建機部品、電池材料等)、溶接(溶接材料、溶接関連機器等)分野に展開している。成長戦略としては、重点分野と位置付けているEV・自動車軽量化関連および資源循環型ビジネス関連の拡大を推進している。

 直近のM&A・アライアンスとしては、24年4月に超小型モビリティの製造・販売やMaaS事業を展開するKGモーターズ(広島県東広島市)に出資、子会社のマツボーとともに珈琲豆用や医薬・化学業界向けの粉砕製粒機(グラニュレーター)を展開する日本グラニュレーターの全株式を取得して連結子会社化、24年6月に神和アルミ工業と共同で半導体製造装置向けアルミチャンバーの加工会社を設立、25年1月に山陽精機に追加出資して関係会社(持株比率34%)とした。25年10月には、成都千木成林新材料有限公司および神戸製鋼所の100%子会社である神鋼投資有限公司と合弁で、中国における受託成膜の神林科晶新材料(成都)有限公司を設立した。

 26年1月には金属溶材の全株式を取得して連結子会社化した。26年3月には、尾張精機のインド現地法人で自動車用ファスナーを生産しているOPPI社への5%出資を発表した。原材料・設備の調達および経営の支援を通じてインド市場での地産地消のサプライチェーン構築を目指す。26年4月には田口金属との合弁会社(非鉄金属スクラップのリサイクル事業)設立が完了した。同社出資比率70%で、事業開始は27年10月を予定している。

 なお26年4月に子会社の移転を発表した。神商非鉄の大阪コイルセンターを26年4月にヒガシトゥエンティワンの堺ロジネットセンター内へ移転し、名称を大阪メタルセンターに改称する。また稲垣商店が26年6月に神商非鉄の大阪コイルセンター跡地へ移転する。稲垣商店において分散していた在庫拠点を集約することで物流効率化を図る。

 26年3月期のユニット別経常利益は、金属本部の鉄鋼ユニットが47億38百万円、アルミ・銅ユニットが28億36百万円、原料ユニットが61百万円の損失、機械・溶接本部の機械ユニットが30億46百万円、溶接ユニットが6億38百万円、その他(不動産賃貸事業等)が1億76百万円の損失だった。取扱数量と市況の影響で変動しやすい特性がある。

■中期経営計画2026

 24年5月に策定した新中期経営計画2026(25年3月期~27年3月期)では、長期経営ビジョン2030で掲げた「明日のものづくりを支え、社会に貢献する商社」の実現に向けて、重要目標達成指標(KGI)として最終年度27年3月期の経常利益145億円、ROE(自己資本利益率)10.0%以上、ROIC(投下資本利益率)6.5%、自己資本比率21%以上、D/Eレシオ0.7倍以下目安を掲げている。

 25年5月には新たに目標値を定めた政策保有株式縮減方針を発表した。27年3月期までに連結純資産に対する政策保有株式の割合を15%以下にする。また将来的には同割合を10%以下とすることを目指し、縮減によって得られた資金を成長投資に活用する。なお26年3月期は4銘柄・24億円を売却し、26年3月期末時点の保有残高の連結純資産比率は18.2%となった。

 株主還元については「連結配当性向30%以上または1株当たり配当300円のいずれか高い方」とする。なお25年4月1日付で株式3分割を実施したため、26年3月期より「連結配当性向30%以上または1株当たり配当100円のいずれか高い方」となる。また25年12月には同社ホームページ内に個人投資家向けサイトを新たに開設し、26年2月にはコミュニケーションガイドブック「価値をつくる・むすぶ・ひらく 神鋼商事」を発刊した。

 基本戦略としては、本計画期間を「第二の創業」の本格化のステージ(前計画で掲げた質の高い経営と真のグローバル企業への変革を具現化するステージ)と位置付けて、事業ポートフォリオ変革等による収益力強化、重点分野・地域や新規事業等への投資促進、DX推進等による商社機能強化、経営基盤の強化に加え、サステナビリティ・人的資本・資本コスト経営を推進し、企業価値向上を目指すとしている。これに伴い25年3月期より、従来の5本部体制を金属本部(鉄構ユニット、アルミ・銅ユニット、原料ユニット)と機械・溶接本部(機械ユニット、溶接ユニット)の2本部制に再編するとともに、営業本部から独立した新事業推進室を設置した。

 ビジネスの3つの柱として、現在のKOBELCOグループビジネス、および神鋼商事オリジナルサプライチェーンビジネスから得られる利益を拡大するとともに、サステナビリティをキーワードにSX新規事業推進案件への投資を進め、将来の収益柱育成を目指す。

 3カ年合計の投融資額は230億円(うちDX&IT関連投資30億円)の計画としている。オリジナルサプライチェーンへの投資を拡大するとともに、エリア的にはアセアン・インドを成長地域と捉えて重点投資を行う方針で、本中計期間中の投資による利益貢献額は15億円程度を見込んでいる。なお25年3月期の投資実績は19億円で、26年3月期の投資計画は77億円としている。

 25年4月には、熊谷組および清水鉄工が推進するが愛媛県西条市で推進する脱炭素バイオマス燃料「木質ブラックバークペレット(国産バーク材原料)製造・販売事業に参画した。また北陸の金属リサイクル企業であるクルマ商事と新たなパートナーシップを築き、建材用アルミサッシ向けのアルミ原料を集荷・選別・販売する同社独自のサプライチェーンの中核の一つとなる「アルミスクラップ格上げ事業」へ参入した。

 25年8月にはグループ会社の神商精密が真岡市と工場建設用地の予約譲渡に関する協定を締結した。27年3月の土地引き渡し後に着工し、28年7月よりアルミ精密加工事業および水平リサイクル事業を開始する。25年9月にはマレーシア現地法人と、マレーシアにおけるバイオマス燃料関連ビジネスをPalmitco社とともに推進していくLOI(意向表明書)を締結した。PKS(パーム椰子殻)の安定供給などサプライチェーン強化を推進する。

 25年11月には航空・宇宙および防衛分野の販売業者に対するマネジメントシステム規格であるAS9120B認証を取得した。今回の認証取得により、今後一層の成長が期待される航空宇宙分野でのサービスのさらなる品質向上および販売拡大を推進する。

 26年3月には、神戸製鋼所の特殊鋼線材サプライチェーンの業務効率化や需給最適化を目的としたDXプラットフォームを構築するとリリースした。26年末頃の運用開始を目指す。

■サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営に関しては、22年4月にサステナビリティ基本方針と重要課題(マテリアリティ)を制定した。23年2月には光変換光合成促進農法社(長野県岡谷市、以下:光変換社)へ資本参加して業務提携した。光変換社は、光変換光合成促進農法による農作物栽培用資材および農作物の生産販売を目的として09年に設立された農業法人で、高麗人参を短周期で収穫する短期促成栽培システム(19年に特許登録)を開発している。

 23年9月には、ちとせグループの統括会社であるCHITOSE BIO EVOLUTION(シンガポール)に出資し、藻類基点の新産業を構築する「MATSURIプロジェクト」に参画した。同グループと協業し、微細藻類によるカーボンリサイクルや微細藻類を使った新規事業開津など、新たな資源循環型ビジネスモデルの構築を目指す。23年10月には「神鋼商事グループ人権基本方針」を制定した。

 23年12月には、奥村組<1833>、丸紅クリーンパワー、大成建設<1801>とともに、北海道石狩市における早生樹の植樹実証事業の開始を発表した。植樹した早生樹を石狩市内のバイオマス発電所で燃料の一部として使用することを見据えており、地産地消によるエネルギー事業の可能性を検討する。24年7月には奥村組および国立大学法人室蘭工業大学と共同で、木質バイオマス発電所から発生する木質系バイオマス燃焼灰の有効活用に向けた研究を開始した。

 25年2月には厚生労働省東京労働局より子育てサポート企業として「くるみん認定」を受けた。25年11月には、経済産業省が主導するサーキュラーエコノミーに関する産官学連携パートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」に参画した。25年12月には企業パーパスの制定を発表した。

 26年1月には、環境情報開示システムを提供する国際環境非営利団体であるCDPによる「気候変動」に対する取り組みや情報開示の評価において、気候変動分野が「B」評価、水セキュリティ分野が初の「B―」評価を取得した。26年3月には経済産業省と日本健康会議が選定する健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定された。

■26年3月期減収減益だが増配、27年3月期増収増益・連続増配予想

 26年3月期の連結業績は売上高が前期比1.5%減の6081億42百万円、営業利益が12.4%減の115億77百万円、経常利益が6.3%減の110億22百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.2%減の82億86百万円だった。配当は106円(第2四半期末53円、期末53円)とした。25年4月1日付の株式3分割を遡及換算すると、25年3月期の100円(第2四半期末50円、期末50円)に対して6円増配となる。配当性向は33.8%である。

 減収減益だった。機械ユニットが好調に推移したが、鉄鋼ユニットにおける建設向け鋼板取扱量減少や鋼材価格下落などが影響した。営業外収益・費用では受取配当金が5億09百万円増加(前期は13億29百万円、当期は18億38百万円)、持分法による投資利益が10億12百万円減少(前期は15億96百万円、当期は5億84百万円)、デリバティブ評価損益が12億28百万円悪化(前期は評価益5億61百万円、当期は評価損6億67百万円)、為替差損益が15億31百万円改善(前期は差損17億63百万円、当期は差損2億32百万円)、貸倒引当金繰入額が13億69百万円改善(前期は14億77百万円、当期は1億08百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が7億47百万円減少(前期は28億39百万円、当期は20億92百万円)した。配当は増配とした。

 金属セグメントの鉄鋼ユニットは、建設向け鋼板の取扱量減少や鋼材価格の下落などにより売上高が3.0%減収となり、経常利益は持分法投資損益の減少も影響して15.4%減の47億38百万円だった。アルミ・銅ユニットは、端子コネクター向け銅板条や空調銅管の取扱量が増加したが、自動車向けアルミ製品の取扱量減少、アルミ再生塊・銅屑の取扱量減少などにより売上高が0.1%減収となり、経常利益は8.3%減の28億36百万円だった。原料ユニットは、神戸製鋼所の粗鋼生産が低調だったため主原料の価格が下落したほか、資源循環ビジネスの収益性低下、バイオマス燃料の取引先の操業トラブルに伴う取扱量減少、海外子会社における前期の一過性利益の剥落などにより、売上高が3.7%減収となり、経常利益は61百万円の損失(前期は1億73百万円)となった。

 機械・溶接セグメントの機械ユニットは、冷熱・ヒートポンプ等の脱炭素関連機器やPVD装置の本体納入の増加、国内子会社における電気溶解炉や粉体装置の増加、中国での建機部品輸出、米国でのLNG向け機器・鋳物ケーシングの増加などによって売上高が4.2%増収となり、経常利益は増収効果で33.3%増の30億46百万円となった。溶接ユニットは、溶接材料と溶接関連機材の取り扱いが国内外で堅調だったが、販売価格下落により売上高が2.3%減収となり、経常利益は9.2%減の6億38百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1476億77百万円、営業利益が22億24百万円、経常利益が29億38百万円、第2四半期は売上高が1450億74百万円、営業利益が30億49百万円、経常利益が28億45百万円、第3四半期は売上高が1529億33百万円、営業利益が33億38百万円、経常利益が27億79百万円、第4四半期は売上高が1624億58百万円、営業利益が29億66百万円、経常利益が24億60百万円だった。

 27年3月期の連結業績予想は売上高が前期比12.8%増の6860億円、営業利益が4.5%増の121億円、経常利益が4.3%増の115億円、親会社株主帰属当期純利益が8.6%増の90億円としている。配当予想は創立80周年記念配当26円を含めて前期比24円増配の130円(第2四半期末65円=普通配当52円+記念配当13円、期末65円=普通配当65円+記念配当13円)としている。連続増配で予想配当性向は38.2%となる。

 ユニット別の経常利益計画は、金属本部小計が0億円減の75億円(鉄鋼が8億円減の39億円、アルミ・銅が1億円減の27億円、原料が10億円増の9億円)、機械・溶接小計が3億円増の40億円(機械が1億円増の31億円、溶接が3億円増の9億円)、その他が2億円増の0億円としている。想定為替レートは1米ドル=140円で、1円変動の影響額は40百万円している。

 鉄鋼は取扱量が増加するが配当金の減少により減益、アルミ・銅は半導体製造装置向けアルミ厚板が増加するが販管費の増加により減益、原料はバイオマス発電所や豪州炭鉱の操業回復により増益、機械は販管費が増加するが非汎用圧縮機の増加で吸収して増益、溶接は材料が減少するが国内子会社の業績回復でカバーして増益の計画としている。

 なお中期経営計画の目標である27年3月期経常利益145億円に対して、今回の経常利益予想115億円は30億円計画未達の形となる。この計画との差異については、鉄鋼が鋼材価格下落および日系自動車メーカー向けや建設向け鋼板取扱数量減少などで▲17億円、アルミ・銅が▲1億円、原料が取引先バイオマス発電所操業停止および豪州炭鉱の操業不調の影響により▲16億円、機械が非汎用圧縮機やヒートポンプなど脱炭素関連機器の好調により+4億円、溶接が▲0億円としている。

 中期経営計画目標は未達となる見込みだが、増収増益・連続増配予想としている。鋼材価格の下期からの上昇、半導体装置関連の回復、カーボンニュートラル関連の機械・設備需要の増加などを見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 25年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出するJPX日経中小型株指数の25年度(25年8月29日~26年8月28日)構成銘柄に、昨年に引き続き選定された。

 株価は2月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが調整一巡感を強めている。低PER、高配当利回り、低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。5月22日の終値は2394円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS340円00銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の130円で算出)は約5.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3745円99銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約636億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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