伸び代しかないEV業界 国内普及率が上昇するカギは?

2023年1月22日 16:51

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記事提供元:エコノミックニュース

集合住宅でもEVを諦めない社会を目指し、日産と積水ハウスが連携

集合住宅でもEVを諦めない社会を目指し、日産と積水ハウスが連携[写真拡大]

 国内において、EV(電気自動車)に対して、あまり良い印象を持たない方も多い。理由の一つとして考えられるのは、今まで日本を支えてきた自動車産業が、EVによって窮地に立たされているからだ。日本の調査会社「マークラインズ」などのデータによれば、2022年のEVの世界販売台数に占める割合は、中国メーカーが4割、米国メーカーが3割、欧州メーカーが2割で、日本メーカーは5%以下という結果だった。

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 確かに数字だけを見れば残念だが、日本の自動車メーカーの今後の動き次第では、95%以上の伸び代があるとも捉えられるだろう。容易でないことは確かだが、内燃機関で自動車業界を席巻し、世界中に販路を構築している日本のメーカーであれば、EVの品質勝負になった時に、十分に巻き返すことができるという見方もある。その為にはまず、国内の普及率を高めて量産体制に入り、価格競争と共に技術革新を繰り返していく段階に入ることが肝心だ。そのためには、異業種も含めた業界大手同士の連携も必要になるだろう。

 EVの国内普及率を高めることを目的に、大手自動車メーカー・日産自動車は、大手住宅メーカー・積水ハウス株式会社と手を組み、「+e PROJECT(プラスイープロジェクト)」を発足させた。住環境と EV のより良い関係性を目指し、様々な施策を展開するそうだ。日産のアンケートによれば、直近3年間でEVの購入を検討した方は7割超と増加傾向にある。しかし、集合住宅に充電設備が無い事で、9割弱の方が、EV購入を諦めていた。この現状を改善する事が、本プロジェクトの目的だと言えるだろう。

 プロジェクトの手始めとして日産は、神奈川県横浜市にある積水ハウスが建築した、入居者自身が快適に暮らしながら、光熱費軽減の恩恵を受けるゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」にて、集合住宅でEVのある暮らしを体験するイベント「+e 試住」を3月4日より実施する。3つのテーマを設定し、集合住宅にEVがある暮らしを1泊2日で実際に体験してもらうという企画だ。また、現在集合住宅で暮らす方に向けて、集合住宅へのEV充電設備導入方法をわかりやすくステップでまとめた特設サイトも公開し、充電設備拡充にも努める方針だ。カーボンニュートラル社会の実現を目指す日産と、エネルギー収支ゼロを目指すZEHの普及に努める積水ハウスとの連携に、大きな注目が集まっている。

 こうした業界の垣根を越えた連携は、EVの国内普及率を増加させる可能性を秘めているとも言えるだろう。各自動車メーカーの新型EVのラインナップも整ってきている。2023年に活発化するであろう、各自動車メーカーの逆襲の一手に期待したい。(編集担当:今井慎太郎)

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