宇宙塵の生成プロセスを解明 北大や東北大の研究

2023年1月18日 08:13

印刷

発射場に向かう直前の観測ロケットMASER 14(画像: 北海道大学の発表資料より)

発射場に向かう直前の観測ロケットMASER 14(画像: 北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

 宇宙塵(宇宙ダスト)とは、ウィキペディアによれば「星間物質の一種で、宇宙空間に分布する1mm以下の固体の粒子」とされる。その一部は地上にも降り注いでいる。私たちが晴れた日に当たり前のように眺めている青空を見せている存在にも、宇宙塵が含まれている。青空は太陽光を上空にある塵が散乱させて起きる現象だが、太陽光の届かない宇宙空間では宇宙塵が星雲となって存在する。

【こちらも】ペルム紀末の大量絶滅に新説、宇宙塵が原因か 東大などの研究

 北海道大学と東北大学の研究者らを中心とする国際研究チームは16日、この宇宙塵がどのようにして生成されるのかを解明したと発表した。

 宇宙に多数存在する100ナノメートル以下のナノダスト粒子のサイズや構造は、これまで解明がなされていなかった。だが観測ロケットに搭載した独自開発の実験装置によって、微小重力下で宇宙塵の一種である、中心に炭化チタンのナノ結晶を持った炭素質粒子の形成過程の再現に成功したという。

 一般的に粒子が生成されるには、その種(たね)となる核の存在が不可欠だ。最初に核が存在し、それが何らかのメカニズムによって粒子へと成長するのだが、そのメカニズムのいかんでサイズや構造が決まる。また核がどのようにして形成されるのかを明らかにすることも非常に重要な研究課題だ。

 今回の研究で解明された核形成プロセスは、最初に炭素の過飽和状態から、炭素の一次核形成が発生。この一次核の表面に炭化チタンが不均一に凝集して、二次核となる。二次核が数千個も融合して一つの粒子、つまり宇宙塵の粒に成長するという複雑なプロセスだ。

 一般的な粒子生成メカニズムの場合は、いったん生成された核は、化学反応を起こすためのエネルギーが小さくて済むため、そこを起点として次々と粒子成長が起こるという比較的単純なものだからだ。

 今回明らかになった事実は、惑星状星雲や超新星、惑星大気など様々な天体で生成される粒子量の推定だけでなく、ドライプロセスにおけるナノ粒子の生成の理解にも役立つ。今後は新材料開発の推進にも貢献することが期待されているという。

 なお研究の成果は、1月14日に「Science Advances」誌に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事