相場展望9月22日 FOMCイベントで急落⇒その後、短期的反発を見込む 金利は上昇を続け、景気後退は必至⇒株は大幅下落を予想

2022年9月22日 12:15

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/19、NYダウ+197ドル高、32,019ドル(日経新聞より抜粋
  ・米連邦準備理事会(FRB)が金融引締めを長期化するとの見方から米長期金利が一時11年ぶりの高水準をつけ、嫌気した売りが先行した。売り一巡後は前週に大幅下落した反動で、短期的な戻りを見込む買いが優勢となり、NYダウは上昇に転じた。
  ・NYダウは前週に▲1,300ドルあまり下げ、下落が目立ったハイテク中心に買われた。
  ・アップル・セールスフォース・テスラ・クアルコムが上げ、メルク・J&Jが下げた。

【前回は】相場展望9月19日 NYダウは新1番底25,500ドルをつけに行くか 日経平均も弱気展開を予想、外国人の先物売りに注意

 2)9/20、NYダウ▲313ドル安、30,706ドル(日経新聞より抜粋
  ・米連邦準備理事会(FRB)の金融引締め観測を受けて、米長期金利が11年ぶりの高水準をつけ、株売りを促した。9/21に米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表を控え、タカ派姿勢が改めて示されるとの警戒感も相場の重荷だった。
  ・長期金利は一時、前日比+0.11%高い3.60%と11年ぶりの水準に上昇した。金融政策の影響を受けやすい2年物国債利回りは3.99%と15年ぶりの高水準。
  ・FOMCは3会合連続で+0.75%の大幅利上げを決める見込みだ。「パウエルFRB議長が記者会見でインフレ抑制に向け断固たる姿勢を改めて示せば、株売りが強まる」と警戒された。NYダウの下げ幅は一時▲550ドル強に拡大する場面もあった。
  ・FRBの急激な金融引締めが景気を冷やすとの見方で、景気敏感・消費関連株が下落。長期金利の上昇局面で相対的に割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株にも売りが目立った。

 3)9/21、NYダウ▲522ドル安、30,183ドル(朝日新聞より抜粋
  ・米連邦準備制度理事会(FRB)が+0.75%の大幅利上げを決め、景気減速よりも激しい物価高(インフレ)抑制を優先させる姿勢を示し、NYダウは3カ月ぶり安値をつけた。
  ・FRBの政策金利の誘導目標は3.00~3.25%まで引上げられる。また、年末までにさらに+1.25%幅の利上げを見込むなど、インフレ抑制のため、今後も急速に利上げを進める方針だ。
  ・これを受け、米国の金利の代表的な指標である10年物米国債の利回りは一時、3.6%を超え、約11年ぶりの高水準を更新した。金融政策の影響を受けやすい 2年物米国債の利回りは一時、4.1%を超え、約15年ぶりの高水準をつけた。金利の上昇は、景気を冷やす効果があり、株価の下落につながった。市場は「米国が景気後退するかどうかより、それがどの程度の深さであるかを問題にし始めている」との指摘があった。
  ・業種別では、消費者サービス・金融が下落した。(フィスコ)

●2.米国株:FOMC直後は「急落」 ⇒ その後、短期的な「反発」のサイクルを見込む ⇒ やがて、金利の高水準と景気後退で世界株式は低迷期に入ると予想

 1)9月住宅指数は予想を下回ったが、FRBの利上げペースは変わらず

 2)そして、NYダウ▲は下落し、恐怖指数(VIX)は上昇傾向にある
  ・8/16直近最高値 ⇒ 9/21
   NYダウ  34,152ドル    30,183
   恐怖指数  19.69       27.99

 3)金利の逆イールドは悪化し、債券市場は「リセッション」を示唆
  ・逆イールドが7/5に発生し2カ月半が経過し、逆イールド幅が拡大している。
    7/5 ▲0.013% ⇒ 9/21 ▲0.525%

 4)一部でFOMCが若干のハト派との見方から楽観し9/21午前は一時+200ドル近辺まで上昇 ⇒ FOMCで利上げ決定し終値は▲522ドル安
  ・FRBの利上げ濃厚にもかかわらず、9/21午前は上昇するという楽観派は健在。

 5)最近のFOMCイベントの特徴
   ・「FOMC直後は下落⇒その後、楽観論の高まりで米国株は反発し上昇」の繰り返し。

 6)このことから、9月末にかけて「小反発」を予想する。

 7)ただし、インフレ抑制のメドが見えるまで、FRBは利上げ継続を予想
  ・11月FOMCでも4会合連続で+0.75%の利上げ予想強まる。来年FF金利5%も濃厚。

 8)米国インフレ抑制は困難な道
  ・賃金上昇率5%台は、インフレ率8%台よりも低く、実質賃金はマイナス状況が続く。
  ・労働組合は賃上げを要求しストライキの続出 が見込まれる。特に、自動車労組は例年通り高い賃金アップを獲得するだろう。
   ・その流れで賃金上昇が止まらない⇒賃金上昇がさらなるインフレを呼ぶ展開を予想。
   ・よって、インフレ退治は長期化し、FRBは想定以上の金利引上げを求められそうだ。したがって、米国のリセッション(景気後退)入りは必至となる可能性が高い。

 9)欧州の景気悪化・中国景気不振と相俟って、世界景気は不透明感が増すだろう。
   ⇒ 欧米の株価下落し、世界景気に敏感な日本株にも波及すると思われる。

●3.パウエルFRB議長のFOMC決定記者会見の発言要旨(フィスコ)

 1)金利引上げは、まだ終了には程遠い。

 2)1つのデータで過剰な対応はしない。

 3)住宅ローン担保証券(MSB)の売却は、今のところ検討していない。

●4.米FRBはFOMCで9/21、3回連続+0.75%の利上げ決定、インフレ抑制の姿勢鮮明に(NHKより抜粋

 1)新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、高いインフレが続いている。そして消費者が、インフレが続くと信じ込んでしまうことを避ける必要があるとして、政策金利を+0.75%引上げることを決めた。

 2)1回の利上げとしては通常の3倍の上げ幅で、FRBは今年6月と7月に+0.75%の利上げを決定しており、今回で3連続となる。

 3)政策金利は3%~3.25%の幅となり、2008年1月以来、およそ14年半ぶりに政策金利が3%を超える。

 4)ただ、急速な利上げなど金融の引締めが住宅市場や個人消費などに影響を与え始めているうえ、今後、失業率の上昇が懸念される。これについてFRBのパウエル議長は記者会見で、記録的なインフレを抑えなければさらに大きな痛みを伴うことになるとして金融引締めについて、「任務が完了したと確信できるまでやり続けなければならない」と述べ、インフレ抑制の姿勢を改めて強調した。

 5)一方、パウエル議長は「金融政策のスタンスがさらに引締まるにつれて、これまで積み重ねてきた政策効果を見極めながら利上げペースを緩めることが適切になる可能性がある」と述べ、今後、利上げペースを緩める可能性にも改めて言及した。

●5.「まだ円安は進む。その次は株安」 米ヘッジファンドが予測する未来(朝日新聞)

 1)「今、日本円を安心して売れるので、円安はまだまだ進む。その後は、日本株にも嵐が来る」と米NYのヘッジファンドの声があった。

●6.米9月NAHB住宅市場指数は46と、予想48・8月49を下回った(フィスコ)

●7.米8月着工戸数は前月比+12.2%増、家賃上昇を受け、許可件数は▲10%減(ロイター)

 1)家賃の上昇が集合住宅の建設を後押しした。

 2)しかし、住宅ローン金利の急上昇や、住宅販売価格の高止まりで総じて住宅需要を圧迫。

●8.米国は「長く、厄介な」リセッションへ、株価は▲40%下落も=ルービニ氏(ブルームバーグより抜粋

 1)著名エコノミストのヌリエル・ルービニ氏の発言要旨
  ・2022年末から米国を始め世界的に「長く、厄介な」景気後退に突入し、2023年一杯続く恐れがあると予想した。

  ・普通の景気後退でさえSP500は▲30%下げる可能性があり、予想する「真のハードランディング(硬着陸)」が起きた場合の下落率は▲40%に達する、と述べた。

  ・硬着陸を起こさずにインフレ率8⇒2%を達成するのは、ほぼ実行不可能。

  ・FRBの利上げは、9月+0.75%、11月と12月は各+0.50%で、政策金利は4~4.25%。賃金とサービス分野の根強いインフレにより、FRBは政策金利を5%に向かうと予想。

  ・世界経済は鈍化、(1)新型コロナ (2)ウクライナ戦争 (3)中国のゼロコロナ政策 でその結果、1970年代のようなスタグフレーションと、金融危機時のような巨額の債務過剰に陥ると予想。「短く浅い景気後退にはならない。厳しく長く、そして厄介な物になるだろう」と述べた。

  ・なお、ルービニ氏は、2007~2008年の住宅バブル崩壊を予見している。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/19、上海総合▲10安、3,115(フィスコより抜粋
  ・経済活動の正常化期待が支援材料。事実上のロックダウン(都市封鎖)されている四川省成都市は9/19から市内全域で解除した。
  ・国家発展改革委員会は9/19、記者会見で、今後の新エネルギー自動車産業発展計画を真剣に実施し、促進すると発言した。
  ・共産党大会を前に、大きく下落すれば当局による相場安定化措置が打たれると予想。
  ・一方、世界景気の先行き不安が強まっていることが、引続き指数の足枷となっている。
  ・業種別では、ホテル・レストラン・レジャー・旅行が上昇、アパレル・自動車が下落。

 2)9/20、上海総合+6高、3,122(亜州リサーチより抜粋
  ・中国政府の景気テコ入れスタンスが改めて材料視された。
  ・国家発展改革委員会は建設プロジェクト加速と国内消費拡大を図る方針を示した。
  ・また、新型コロナ流行が落ち着きつつあり、行動規制の緩和が進むと期待されている。
  ・ただ、上値は重い。ドル高の進行で、人民元が2年2カ月ぶり元安となり警戒された。米金融当局による政策金利が今回も大幅利上げが見込まれ、中国本土からの資金流出も不安視される状況だ。
  ・業種別では、消費関連の上げが目立ち、再生可能エネルギーも高い。不動産は冴えない。

 3)9/21、上海総合▲5安、3,117(亜州リサーチより抜粋
  ・人民元安の進行が不安視される流れとなった。
  ・米金利高を背景に、人民元は節目の7.0人民元を突破し、2020年7月以来の人民元安水準で推移している。資金流出の不安も高まる状況だ。
  ・中国景気の先行き不安も高まる。アジア開発銀行(ADB)は9/21発表した最新の「アジア経済見通し」で、中国の2022年国内総生産(GDP)成長率予想を4月予測時の+5.0⇒+3.3%に下方修正した。
  ・もっとも、大きく売り込む動きは見られない。中国の経済活動正常化や、景気テコ入れ策に対する期待感が相場を下支えしている。
  ・業種別では、消費関連の下げが目立ち、医薬品・ハイテクも冴えない。建設は上昇。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/19、祝日「敬老の日」で休場

 2)9/20、日経平均+120円高、27,688円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は前週末に大幅下落しており、短期的な戻りを期待した買いが優勢となり一時+300円を超えたが、米金融政策の先行きを見極めたい投資家も多く次第に伸び悩んだ。
  ・主力の自動車や半導体関連など幅広い銘柄が買われ、日経平均を押し上げた。
  ・日経平均は前週末の下落で、75日移動平均(27,517円)近辺まで下げており、売り方の買戻しも入った。政策期待も相場の支援材料になったようだ。
  ・世論調査で、岸田内閣の支持率低下が目立った。市場の一部では、政権が支持率を挽回で「経済界に配慮した政策を打ち出し、株式相場の支えとなるのでは」との声があった。
  ・日経平均は節目の28,000円が視野に入ると戻り待ちの売りに押された。FOMCの結果発表を9/21に控え、「米長期金利が高水準にあり、金融引締めペースを確認してからでないと買いに傾けづらい」との指摘があった。
  ・ソフロバンクG・ファストリ・昭和電工・東海カが上げ、海運・不動産が下げた。

 3)9/21、日経平均▲375円安、27,313円(日経新聞より抜粋
  ・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を日本時間9/22未明に控え、警戒感が強く、運用リスクを回避する売りが優勢となり、7/19以来2カ月ぶりの安値となった。
  ・前日の米国株や9/21の中国・上海株などが下落したのも重荷となった。
  ・米連邦準備理事会(FRB)が今回のFOMCで金融引締めに積極的な「タカ派」の姿勢を改めて示すとの見方は多い。9/20の米長期金利は一時3.6%と11年ぶりの高値をつけハイテク株などに売りが出た。
  ・市場では「前日の米国株安を受け、東京市場では海外のヘッジファンドによる空売りが幅広い銘柄に出た」との指摘があった。
  ・ユニチカ・ダイキン・東電・第一三共が下落。日製鋼・神戸鋼・保険・海運が上昇。

●2.日本株:FOMCイベントで急落も、9月末に向かって反発を予想

 1)外資系の先物は、売越し転換後9/21で4日連続の売り継続。

 2)9月末に向かって「反発」を予想の要因
  ・配当権利狙いの買いが期待できる。
  ・自社株買いが9月末に向かって相場を支える
  ・配当再投資(信託銀行など)による買い期待がある。

●3.8月消費者物価は+2.8%増と、約30年11カ月ぶりの歴史的な上昇幅(TBS)

 1)背景には、(1)原油価格高騰 (2)急激な円安がある。

●4.アベノミクスから10年、膨らむリスク、日銀の国債保有が11%⇒5割目前に(朝日新聞)

 1)日本の国債残高は2021年末で約1,000兆円、地方自治体含めた長期債務残高は国内総生産(GDP)比で250%超と世界最悪の水準にある。

■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)

 ・4452 花王        業績堅調。
 ・4661 オリエンタルランド コロナ行動規制緩和期待。業績急回復。
 ・6728 アルバック     業績堅調。

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