100周年間近:アース製薬の商品力を評価したい

2022年9月13日 17:11

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温泡(画像: アース製薬の発表資料より)

温泡(画像: アース製薬の発表資料より)[写真拡大]

 アース製薬(東証プライム)は、生活人に馴染みが深い。身近に「投資対象」の機会を探すのも、1つの方法。会社設立は1925年8月というから、かれこれ1世紀近い企業となる。

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 どんな企業かを説明するのは愚策。1929年に家庭用殺虫剤「アース」を発売。64年に入浴剤「バスロマン」を、73年には「ごきぶりホイホイ」、さらに87年には愛用品の口腔衛生ケア液「モンダミン」を発売している。そういう企業。「それ以上でもそれ以下でもない」などと評しては、失礼。

 アース製薬の沿革を追っていくと、「常に新たな商品開発」と取り組んでいることが分かる。今回、アース製薬を書きたいと思ったキッカケは「温泡(オンポ)」なる入浴剤が出現していることを確認したからだ。

 前記の「バスロマン」に始まる入浴剤は、子会社のバスクリーンが手掛けているが、入浴剤も多種多様。だが今回の温泡は引き合いの多さから、生産ラインを兵庫県赤穂工場に増設。来年8月までに生産能力を倍増するというヒット商品の有力候補。会社側の説明では「森にこだわり4種類の香りを詰め合わせた、発泡入浴剤」とか。

 話を聞いていて、フッと住友林業が展開する木製の老人施設を思い出した。住友林業の木へのこだわりは中途半端ではない。詳細は省くが「木製の超高層ビル建築」計画を明らかにしている。そうしたこだわり?の一環として、件の木製老人施設には、檜から作った香り剤がいたるところに置かれている。木(森)の香りは、我々に「癒し」をもたらす。

 温泡を入れた風呂にゆっくりと浸かってみたい・・・と思わないだろうか。

 話はアースに戻す。足元の収益動向は地味、いや地道というべきか。前12月期は「3.9%増収(2037億)、6.6%営業減益(106億6700万円)、101.4%最終増益(過去最高の71億4200万円)、3円増配118円配(配当性向36.4%)」。対して今期は「企業会計基準第29号」に移行のため単純比較は出来ないがそれぞれ、「1550億円、107億5000万円、72億8000万円(連続過去最高)」計画。

 ちなみに前期の決算説明資料にも主軸の【家庭用品事業:5.1%増収、0.4%営業減益】を詳細に見ていくと、「温泡」発売で入浴剤部門が13.6%の売り上げ増となっている。地味だが「商品開発力企業」の面目躍如といえる。

 過去9年半余、同社株を保有していると修正値ベースでパフォーマンスは約2倍。地道。時価:5000円台半ばの予想税引き後配当利回りは、好配当性向を映し1.7%。IFIS目標平均株価6000円台。温泡湯に浸かって「さて、どうするか」を考えるのも一法か。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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