マンション管理業首位:日本ハウズイング、次の1手はビル管理業!?

2022年7月21日 15:23

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 地味だが不可欠な企業。日本ハウズイング(東証スタンダード)なども、そんな1社。マンション管理業の最大手。営繕工事も手掛けている。

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 前3月期は、「8.5%増収、9.1%営業増益、14.1%最終増益、22円配当(2021年10月の1対4株式分割を勘案すると実質増配)」。そして今期も、「8.9%の増収(1358億円)、5.1%の営業増益(74億4000万円)、4.8%最終増益(50億円)、2円増配24円配」と順調な回復計画で立ち上がった。

 「順調な」としたのはこんな理由からだ。主力のマンション管理事業(A)と営繕工事業(B)には前期、こんな事情があったからである。

『A』: 管理戸数は8342戸増の47万8240戸(海外案件を含めると58万6372戸)。ただ前々期の長期保険契約の更新に伴う保険代理手数料の増加に伴い、営業利益は減少。3.3%増収(543億9700万円)も、9.7%の営業減益(43億5800万円)。

『B』: 収益基準の変更。進行基準(工事の進捗状況について、成果の確実性が認められる工事に適用)と完成基準(その他工事に適用)の2本立てを、ごく短期案件を覗き「進行基準」へ1本化。15.6%増収(549億9900万円)、30.2%営業増益(43億7600万円)。進行基準1本化は、積み重ねて実績を斯界に示した結果といえる。

 また興味をひかれたのは、『ビル管理事業』への本腰。「7.0%増収(93億2700万円)、1.8%営業減益(6億2800万円)」。だが未だ立ち上がり期の状況が見て取れる。

 具体的には、前々期の大型物件の売買仲介手数料剥落の影響。ベトナムでのコロナウイルス感染症の影響による各種費用増で減益を余儀なくされた。が、ビルの管理・営繕業界に詳しい筋は、「日本ハウズイングの参入をウエルカムとする既存の業者は皆無」としている。同社の今後の伸び代を勘案する上で、興味深く見守りたい。

 株式投資妙味も感じさせる。本稿作成中の時価:900円台半ばの予想税引き後配当利回り2%強。過去9年余り長期保有していると株式分割などを修正したベースで、保有株のパフォーマンスは60%余の上昇。2010年3月期の配当6・75円に対し修正ベースで今期の予想配当は24円と着実に積み重なってきていることが窺える。

 株式投資原稿として書いているのなら、「年初来高値:1344円から同安値:923円まで調整後の戻り場面。好配当率を背景に押し目買いに徹するのが賢明か」で濁して〆る。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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