飲食業の倒産件数、2022年上半期は過去20年で最少に コロナ原因の割合は増加

2022年7月8日 07:47

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 東京商工リサーチが2022年上半期の飲食業倒産状況を発表し、倒産件数が過去20年で最も少なくなったことが分かった。

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■倒産件数は過去20年で最小もコロナ割合は増加

 7日、東京商工リサーチが2022年上半期の飲食業倒産状況を発表した。2022年1月から6月における飲食業倒産(負債1,000万円以上)の件数は237件で、前年同期の330件から28.1%減となり、2年連続で減少。過去20年間では最も少ない倒産件数となった。

 新型コロナウイルス対策の支援金等が拡充したことや、新型コロナの感染拡大が鎮静化したことで通常営業が増えているなどが要因となった。

 ただし、倒産件数のうち新型コロナウイルスを原因とした倒産件数は141件で、前年同期比では3.4%減とやや減少したものの、倒産全体に占める割合は59.4%となり、前年同期の44.2%から15.2ポイント増加している。

■「酒場、ビヤホール」が業種別で初の最多

 業種別で最も倒産件数が多かったのは「酒場、ビヤホール」の61件(前年同期比:22.78%減、以下同じ)。業種別の倒産件数で「酒場、ビヤホール」が最も多くなるのは調査を開始以来初めてのこと。以下は、「食堂、レストラン」が51件(1.92%減)、専門料理店が47件(48.35%減)、喫茶店が21件(38.23%減)、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」が14件(51.72%減)、その他飲食店が11件(2.2倍)、「すし店」が10件(9.09%減)などと続いている。

■個人経営や小規模企業の倒産件数が8割超

 負債総額は前年同期比13.84%増の312億8,000万円となり2018年から4年連続で増加した。負債額別では「1億円未満」が同30.9%減の199件と大きく減少した。それでも倒産全体に占める負債額1億円未満の件数の割合は83.9%と高い水準で推移している。

 また、資本金別では個人企業を含む「1千万円未満」が同33.6%減191件。ただし倒産全体に占める割合は80.5%とこちらも高い水準で推移しており、個人経営を含め小規模企業の倒産が引き続き多くを占めていることが分かる。

■京都府など10府県で倒産件数が増加

 都道府県別の倒産件数で最も多かったのは東京都の46件。以下、大阪府が29件、京都府が15件、兵庫県が12件、福岡県が11件、愛知県と神奈川県が10件、北海道と埼玉県が7件、千葉県と新潟県が6件と続いている。

 前年同期に最も多かった大阪(57件)がほぼ半減したことで、微減だった(47件->46件)東京都の倒産件数が再び最多となった。東京都や大阪府のほか29都道府県で倒産件数が減少。

 一方、京都府(11件->15件)や新潟県(4件->6件)など10府県で倒産件数が増加した。倒産件数が前期から変わらなかったのは8県。秋田県、福島県、山梨県、高知県、佐賀県、熊本県、宮崎県の7県で倒産件数がゼロだった。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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