manebiに学ぶ、離職率10分の1以下にした新人研修体制

2022年6月14日 16:05

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 manebi。企業研修システムを提供している。企業研修のプラットフォーム「playse.」事業や、人材派遣業界のeラーニング「派遣のミカタ」事業の展開が中軸。派遣のミカタでは既に導入社数は1300社を超える。創業者CEO:田島智也氏を取材する機会を得た。

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 『離職率30%・・・2年で10分の1以下に引き下げた「manebi流新人研修」とは』という資料がキッカケだった。またベンチャーキャピタル企業の知人から、「上場の準備が着々と進んでいる」と耳にした点にも背中を押された。

 周知の通りコロナ禍でリモートワークが普及。人材採用でもリモート面談の比率が高まった。伴い、こんな弊害が浮上した。manebiの独自調査にもそれが顕著に表れる。対象企業の44.0%が「新卒社員間での連帯感が薄まった」、42.2%が「コミュニケーション不足が目立つ」・・・19.0%が「新卒社員の離職率が上がった」etc。

 田島氏は、「当社は、企業研修システムの提供をビジネスとしている。である以上、コミュニケーション不足や(新人という)人材候補の離職にもmanebiなりの対応が求められる」と考えた。

 実は過去に、manebiにも離職率(約3割)の課題があった。「解決は喫緊の課題」と強く認識したのはリモートワークが進む、コロナ下だった。HPから検索し「いい会社だ」と転職してきた、元教師がいた。IT関連の実務の経験も有していた。「企業は人材」とかねて思い続けてきた田島氏は、言葉を選ばずにいえば“彼を離職させてしまうようでは、自分は経営者失格”と腹を括った。

 でそこで具現化したのが新人研修制度。「新しい人材の離職にも繋がりかねないコミュニケーション不足離職を防ぎ、どう育成するか」がその課題。具体的には、以下のような体制が敷かれた。

(1)新人1人に4人の上司・先輩がサポート。直属の上司・他部署の上司・同じ部門&他部門の先輩が機を見て常に、「業務上の相談や目標設定・達成のサポート」「仕事の不安・悩みのサポート」をフォロー。会社への理解を深めるために役員もかかわる。

(2)ティチャー制度:同様の枠組みで仕事だけでなく、「人生設計」をともに考える。

(3)月に1度の交流会の実施。同世代のメンバーや他部門の人との積極的な交流を図ることが狙い。

(4)入社後1カ月・2カ月・3カ月、3回の研修が行われる。そして3回目の研修終了時には、社内で目標に対する成果を共有するためのプレゼンテーションが行われる。その場には全社員が参加し、目標達成のためのアドバイスを受けることができる。

 田島氏の、そして一連の施策を展開する元締め役:HR部の平賀晶雄氏の説明を受け私が至った結論は、「この会社は、自分に寄り添って自分のことを育てようとしてくれている、そんな思いを新人に強く抱かせることでコミュニケーションを図り、結果離職率が急減した」だった。「そうですよね・・・」という問い掛けに田島氏は、首を縦に強く振って応えてくれた。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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