アジア最大級のPR会社:ベクトルの伸長力に株価もエールを送っている!?

2022年6月7日 07:09

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 電通が2月に発表した「2021年日本の広告費」によると、21年1月から12月の総広告費前年同期比10.4%増の6兆7998億円。中でもネット広告費は21.4%増の2兆7052億円と、TV・ラジオ・新聞・雑誌の通称マスコミ4媒体の総額を超えたという。

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 広告宣伝費は「企業活動動向⇔経済動向」の先行指標ともされるだけに、注目に値する。そうした中でアジア最大規模のPR会社とされるベクトル(東証プライム)の前期決算、今期計画には図抜けた感を覚える。動画・SNS・インフルエンサーを活用した一気通貫のPR手法が持ち味。

 ベクトルの勢いはベンチャー企業等に対する出資事業で、21年から今年春にかけ「Waqoo」「BCC」「リベロ」「ROBOT PAYMENT」「ラストワンマイル」「メンタルヘルステクノロジー」「セカンドサイトアナリティカ」が上場(いずれも東証スタンダード)を果たしている点にも見て取ることも出来る。

 前2月期は「27.0%増収、126.8%営業増益、11円増配13円配」。今期も「12.1%の増収(531億円)、18.1%の営業増益(62億円)、5円増配18円配」計画。拡充傾向入りした収益動向を、前期で検証するとこんな具合だ。

【PR・広告事業】: タクシーに乗ると設置されたタブレットで企業のサイネージ広告を目にする機会が増えたが、これもベクトルが注力している展開。またオンラインによるPRイベントやSNSを活用したライブコマース支援事業も、断続的な緊急事態宣言下で堅調な展開。前年度比46.3%の増収(259億6500万円:過去最高)、83.3%の営業増益(21億2500万円)となった。

【プレスリリース配信事業】: 私のPCの受信コーナーにも例えばグループ企業:PR TIMESからかつて接点を持った企業からの、ニュースリリースが配信されてくる。前期末で利用している企業は6万5000社を超えている。28.9%増収48億5400万円、40.9%営業増益(18億3400万円)。

 記した2本柱の他にも、【ビデオリリース配信事業:NewsTVが手掛けるビデオリリース事業】【ダイレクトマーケティング事業:ビタブリッドジャパンが手掛ける】などの事業により展開が図られている。

 また新卒用会社説明動画の見放題「採用プラットフォーム」に続き、中途採用版が今秋投入されるといった具合に、歩みを続けている。更には前記した出資事業を今期から【投資事業】を主たる事業に仕上げていくことも明らかにしている。

 株価も前向きに反応している。前期決算直後に1330円まで買われ、時価は1000円台トビ台と微調整もIFIS目標平均株価は2000円。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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