空飛ぶクルマの世界市場、2050年には120兆円超へ 矢野経

2022年5月22日 07:33

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空飛ぶクルマの世界市場規模予測(画像: 矢野経済研究所の発表資料より)

空飛ぶクルマの世界市場規模予測(画像: 矢野経済研究所の発表資料より)[写真拡大]

 矢野経済研究所(東京都中野区)は19日、「空飛ぶクルマ」の世界市場規模が2050年に120兆円を超えるとの予測を発表した。空飛ぶクルマとは、主に電動で自動運転ができ垂直着陸が可能なモビリティのこと。2025年から多くの事業が開始され、急拡大していくと予測した。

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 米Uberは「Uber Elevate White Paper」の事業構想で、空の移動に関して積極的に開発を進めると発表。これを皮切りに、空飛ぶクルマ市場の動きが活発化している。2025年には世界の市場規模は146億2500万円を超える見込み。

 開発は現在北米や欧州、中国が先行している。実証試験のサイクルがスピーディーで小型高級機の認知度が高いためだ。こうした国や地域でインフラ整備から機体の導入まで加速度的に進むと見られる。

 日本でも2025年に空飛ぶクルマが事業化する見込みだ。国内では国土交通省と経済産業省が主催する官民協議会や、大阪府・関連事業者が意見交換を行うラウンドテーブルが実施されている。行動計画や運航プランの検討などが行われており、これを下敷きに、「2025年日本国際博覧会」をきっかけとして空飛ぶクルマ実装に向けて勢いが高まる見込み。

 空飛ぶクルマは移動ツールとしてだけではなく、競技用や観光などでも利用が期待されている。多岐にわたる業界を巻き込んで付加価値を生み、関連業界や産業も拡大していく可能性がある。

 実用化のために必要なのは、機体開発だけでなくインフラや管制システムはもちろん、法整備や社会受容性も整うことだ。そうした条件が揃い、2030年から2035年にかけて日本でも徐々に新しい移動手段として根付いていくものと見られる。その後は公共の移動手段としてだけでなく、個人所有が増え、市場規模の拡大を後押しすと考えられる。

 尚、市場規模予測のための調査は、2021年11月から2022年3月まで実施。金額は空飛ぶクルマの機体のみから算出している。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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