宇宙が大地震を誘発か? 月や太陽の潮汐効果と地震の関係

2022年1月25日 08:25

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左図: 東日本の大地震(宇津カタログ)と月の遠地点の周期との関係。縦軸は地震の個数。横軸は発生時間のずれを年の単位で示したもの(nは整数)。右図: 地震の分布。太平洋プレートに関連するものとして、日本海や紀伊半島沖の深い地震も含めている。赤丸はKatsumata (2011)により地震の静穏化が指摘されているところ。(画像: 東京大学測地学研究グループ田中研究室の発表資料より)

左図: 東日本の大地震(宇津カタログ)と月の遠地点の周期との関係。縦軸は地震の個数。横軸は発生時間のずれを年の単位で示したもの(nは整数)。右図: 地震の分布。太平洋プレートに関連するものとして、日本海や紀伊半島沖の深い地震も含めている。赤丸はKatsumata (2011)により地震の静穏化が指摘されているところ。(画像: 東京大学測地学研究グループ田中研究室の発表資料より)[写真拡大]

 先日太陽黒点と大地震の関係を取り上げたが、宇宙にはそれ以外にも大地震を誘発させる可能性を秘めた存在がある。それは潮汐効果だ。

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 地球における潮汐効果は月と太陽によるものが主だが、これらは地球と重力源となっている天体との距離変化によって重力の大きさに時間的な差異が生まれ、地殻内部にひずみが生じる現象だ。月は地球と比べれば小さいが、距離が最も地球に近く、潮汐効果も無視できない。太陽は太陽系天体の全質量の99%以上を占める巨大な重力源である。

 東京大学の研究グループによると、地球のプレート運動で地殻には年間30kPa程度の割合で断層面にひずみが蓄積されており、大きな地震が生じる場合には、このひずみの値が数MPaに達する必要がある。潮汐効果による断層面のひずみの蓄積量は数kPa程度に過ぎないが、断層面が地震に発展する限界ひずみに近い状態にあるときは、潮汐効果が地震を誘発する引き金になりうるという。

 研究グループによると、月の遠地点に関係した8.85年のきわめて微弱な潮汐周期があり、大地震発生がこのサイクルのうちの2年間に集中しているという。東日本大震災が起こったのは2011年のことであり、それから約9年後の2020年には、マグニチュード7.2の択捉島南東沖での地震が発生している。この計算によれば潮汐効果に起因する大地震が次に来るのは2029年ということになりそうだ。

 また別の日本人研究者は、「トンガ-ケルマデック海溝に沿ったプレート間地震の潮汐力」と題する研究論文を2019年に公表。1976年から2015年に同海溝付近で起きたマグニチュード5.5以上の地震の75%が、最大潮汐せん断応力振幅があった日に関連していたことを示している。

 幸いにして潮汐効果に起因する大地震が2022年に発生することはなさそうだが、大地震発生には様々なメカニズムが複雑に関係しており、月や太陽の影響も無視できないことにも注意が必要だ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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