2021年の倒産件数、飲食業は減少も旅行業は増加 東京商工リサーチ調査

2022年1月13日 16:24

印刷

 東京商工リサーチが2021年の飲食業と旅行業の倒産状況を発表し、助成金などの効果により飲食業の倒産件数が抑えられている一方、倒産件数が増加した旅行業は厳しい状況が続いていることが分かった。

【こちらも】2022年の景気、個人向けサービスも大幅改善の見込み 不透明感も

■飲食業の倒産は減少も新型コロナ関連が2.1倍

 11日、東京商工リサーチが2021年通年の「飲食業」倒産の分析結果を発表した。2021年1月から12月の飲食業倒産件数(負債額1,000万円以上)は648件で、過去最多だった20年の842件から23.0%減少するとともに、5年ぶりの600件台に留まった。倒産件数減少は、新型コロナウイルス関連の助成金や協力金などの支援策が要因となった。

 ただし新型コロナウイルスウイルス関連の倒産件数は300件で、20年の138件と比較して約2.1倍に急増。倒産全体に占める新型コロナウイルス関連倒産の割合も、20年の16.4%から21年は46.2%と半分近くに増加している。

■持ち帰りや宅配の飲食サービスが堅調

 業種別で最も倒産件数が多かったのは日本料理店や中華料理店などの「専門料理店」で170件(前年比:15.42%減、以下同じ)。以下は「酒場・ビヤホール」が152件(12.64%減)、「食堂・レストラン」が118件(39.17%減)、「喫茶店」が61件(8.95%減)、「バー・キャバレー・ナイトクラブ」が54件(6.89%減)などと続いている。

 新型コロナウイルス禍で注目を集めた「持ち帰り飲食サービス業」は16件(38.46%減)、「宅配飲食サービス業」は23件(37.83%減)で、どちらも過去10年で最も少ない倒産件数に留まっている。

 都道府県別で最も多かったのは大阪府の105件。以下は東京都が80件、兵庫県が53件、愛知県が40件、福岡県が28件、神奈川県が26件、京都府が25件と続く。47都道府県の内、倒産件数が増加したのは兵庫県の他、茨城県(16件)、山口県(15件)など地方に多い。減少したのは東京都、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県、福岡県など都市部に多く、北海道(16件)、鹿児島県なども減少した。福島県と山梨県で倒産件数がゼロだった。

■旅行業の倒産は2年連続で増加、先行きも厳しく

 12日には、2021年通年の「旅行業」倒産の分析結果も発表した。2021年1月から12月の旅行業倒産件数(負債額1,000万円以上)は31件(前年比:19.2%増)で、19年の25件、20年の26件から2年連続で増加。14年(37件)以来の7年ぶりに30件台となった。また新型コロナウイルス関連の倒産件数は25件で、20年の7件から約3.5倍となり、倒産全体に占める割合は20年の26.9%から21年は80.6%と大きく増えている。

 倒産件数の増加には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動の抑制が影響。海外からの入国制限が延長され、「Go To トラベル」キャンペーンの再開も見送られたため、さらに「あきらめ倒産」が増える可能性もあるという。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事