KDDI、22年3月期第2四半期は増収減益 楽天モバイルのローミング収入が寄与

2021年11月1日 11:22

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■売上高は3.5%増、純利益は3.1%減

 KDDI(9433)は10月29日、22年3月期第2四半期累計(21年4月~9月)の連結決算(IFRS)を発表。売上高は前年同期比3.5%増の2兆6252億円と増収も、営業利益は同2.7%減の5731億円、純利益は同3.1%減の3615億円と、利益面では伸び悩んだ。財務面では自己資本比率は1.1ポイント改善の46.3%となった。

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 尚、今回は業績予想の修正はなかった。業績進捗率を見てみると、売上高49.1%、営業利益54.6%、純利益は55.2%となっており、折り返し時点の評価としては会社の予想に概ね沿った格好と言えよう。22年3月期2Qの配当は前期と同額の1株60円とした。

■通信収入減収も、楽天モバイル向けローミング収入がカバー

 携帯料金の値下げを求められている今日、携帯キャリアそれぞれ対応に追われている。KDDIも煽りを受け、auやUQ mobile、オンライン専用ブランド「povo」を含めた「マルチブランド通信ARPU収入」は前年同期比で4.5%減となっている。auユーザーが格安ブランドへ移行していることもあり、一概には言えないものの減収となっていることは間違いない。

 一方で、モバイル通信料収入は同0.3%増と増収。ここにはグループMVNO収入やローミング収入が加算されている。BIGLOBEモバイルやJ:COMモバイル等、近年はMVOブランドから料金が格安なMVMOブランドへ移行するユーザーが増えており、KDDIにとっても脅威である。一方、MVMOブランドはKDDIにとって顧客でもある。その理由はau回線を利用しているためだ。MVNO業者からのローミング収入がマルチブランド通信収入をカバーした。

 またグループMVMO収入以外に大きいものとして、楽天モバイルからのローミング収入だ。第4のMVOブランドとして業界へ風穴を開ける意気込みの楽天モバイルだが、自社の通信回線だけでは満足したサービスが提供できないため、au回線を利用している状況だ。実際モバイル通信料収入からマルチブランド通信分を差し引いた356億円の大半は、楽天モバイルからの収入と推測できる。

■3G停波に伴う減価償却費計上で減益

 2Qは3Gの停波に伴う設備等の償却が影響し、減益となっているが、マルチブランドの収入減を楽天モバイルからのローミング収入で賄ったことから増収で着地した。だが21年10月より楽天モバイルによるローミング終了が順次行われていく予定だ。26年までには全て終了する予定のため、モバイル収入だけでは安泰と言えないのがKDDIの現状。

 主軸の携帯事業以外に活路を見出そうとしている。金融事業ではau PAYやじぶん銀行、その他DX関連の新規事業やベンチャー投資によって、新しい柱を作り出している最中。モバイルは頭打ちに近づいている中、投資家にとっては他事業の成長が待たれるところだ。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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