関連記事
「歩行者中心街路」は飲食店の売上げを上げる 東大がビッグデータ解析
分析に使われたオープンストリートマップ(OSM)から取得した歩行者空間の時系列変化の例。図は、バルセロナ市とヴァジャドリッド市の2012年12月における歩行者空間の分布。(画像: 東京大学の発表資料より)[写真拡大]
東京大学は29日、歩行者中心の街路に立地すると、小売店や飲食店の売上げが高まるとする研究成果を発表した。従来言説として直観的に言われてきたが、ビッグデータを解析し検証を実施。科学的な裏付けを示した。街づくりや都市計画の強い根拠として用いてもらいたい考えだ。
【こちらも】日立と東大生研が、超省エネルギー型ビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を研究開発
東大の先端科学技術研究センターが、マサチューセッツ工科大学と共同で研究し発表した。車中心の道路よりも、自転車や歩行者中心の街路の方が、ディナーやランチ、喫茶などの体験型消費に関して売上げが高くなる傾向があると明らかになった。一方、日用品の購入に関しては、歩行者空間であるかどうかに関係なく日常的に行われると言う。
研究では、スペイン全土の街路の用途変更情報を収集し、匿名化された事業者の取引データも取得。それらをコンピュータ上でかけあわせて、歩行者空間化した場合に事業者の売上げが上がるか下がるか分析した。その結果、非歩行者空間よりも、歩行者空間の方が飲食店の売上げなどにポジティブな影響を与えると分かった。
コロナ禍を境に、感染症に対応する都市計画が世界中で進められており、パンデミックに備えつつも経済活動を停滞させない街づくりが急がれる。また、住民の健康や生活の質向上、環境汚染防止などの観点からも、歩行者中心の街路編成は進んでいる。だが、これまで歩行者空間が経済や周辺環境にどのような影響を与えるのか定量的に調査されたことが無かった。
東大は直観的な言説を、データにも続く科学的根拠として示した。これを用いて、街路の活用を定めたり、近隣住民との対話や合意形成につなげてほしいと考えている。尚、研究成果の詳細は、国際雑誌「Cities」に記載されている。
この研究を行ったのは、吉村有司特任准教授、熊越祐介特任研究員 (研究当時)、小泉秀樹教授のグループ。マサチューセッツ工科大学らと共に歩行者空間の分布を広い範囲で集められる方法を開発し、検証に当たった。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
スポンサードリンク
- 10cm以上にもなる巨大単細胞生物ハネモ、全ゲノム解読に成功 名大ら 4/24 09:12
- 怒りを「紙に書き」「丸めて捨てる」と怒りが静まる 名大らが確認 4/13 08:51
- 量子もつれの情報伝達速度には限界があった 京大らの研究 4/ 6 16:31
- 全身性強皮症に抗酸化サプリが有効な可能性 ルイ・パストゥール医学研究センター 4/ 5 09:06
- DNAの切断を修復する仕組み解明 がんの原因解明・治療に期待 東大ら 3/22 19:19