TBM、LIMEXとプラスチックを回収・再生するリサイクルプラント 横須賀市に

2021年8月31日 07:40

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リサイクルプラントのイメージ(画像:TBMの発表資料より)

リサイクルプラントのイメージ(画像:TBMの発表資料より)[写真拡大]

  • リサイクルの概要・流れ(画像:TBMの発表資料より)

 石灰石が原料の紙代替素材「LIMEX(ライメックス)」を手がけるTBMは30日、使用済みLIMEXや廃プラスチックを回収・再生するリサイクルプラントのプロジェクトを開始すると発表した。プロジェクトの柱として、横須賀市に年間約4万トンの処理能力を持つリサイクルプラントの設立を予定。横須賀市の収集業者などと連携し、プラスチック資源循環モデルの構築に取り組んでいくという。

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■リサイクルプラントプロジェクトの概要

 使用済みのLIMEXと廃プラスチックは、オフィスや工場、一般家庭などから回収し、リサイクルプラントに集める。プラントで選別・粉砕・洗浄し、小さな球上の再生ペレットに変える。それをプラスチック成型メーカーなどに提供するというリサイクルモデルを想定している。

 リサイクルプラントには、回収物を自動選別するラインを設置予定。それにより、これまで焼却処理されていたオフィスや工場などから出される雑多な事業系の廃プラスチックや、家庭から出る多様な廃プラスチックを選別し、再生することが可能になるという。再生ベレットの年間あたりの予定生産量としては、約2万4,000トンを見込んでいる。

 プラントの設立にあたっては、神奈川県の企業誘致施策である「セレクト神奈川NEXT」を活用する。セレクト神奈川NEXTは、エネルギー産業や先端技術関連産業など対象産業の工場や研究所、事業所等の施設を建てる際に、補助金・税金軽減・低金利での融資などが受けられる。審査をパスする必要があるが、TBMは既に認定済みという。

 プラスチック資源のリサイクルは、海洋プラスチック汚染や処理場飽和などの観点からこれまでも進められてきた。2019年の「バーゼル条約」(環境保護有害廃棄物の定義や輸出入を規定する国際条約で日本も加入)の一部改正により、その動きは加速している。改正では廃プラスチックの輸出入規制を強化。汚れの付着・異物の混入があるものは輸出入対象外で、裁断やシート状等への加工がないものも対象外となる。改正は2021年1月から効力が発生している。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本の廃プラスチックの輸出量は2014年(167万トン)から7年連続減少し、2020年時点では82万1,000トンまで低下。一方で、世界の廃プラスチック輸出量上位国(2019年)では、1位のドイツに続き、日本は2位(3位米国)。環境省は日本の課題として、1回の使用で廃棄するプラスチック容器の量が世界で2番目に多いことや、廃プラスチックの再生率が100%に未達であることなどを挙げている。

 2021年6月には国会で「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が可決。プラスチック資源の分別回収・再生化を市区町村と事業者が連携して進めることなども盛り込まれている。循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現へ向け、さらなる加速が見込まれる。その先駆けとなるTBMのリサイクルプラントは、2022年秋頃の稼働を予定している。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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