コロナ関連の破たん1842件に 件数減るも楽観視できない状況 東京商工リサーチ

2021年8月21日 20:01

印刷

 東京商工リサーチは20日、コロナ禍の影響で経営破たんした国内事業者数が1週間で25件増え、累計で1,842件(負債1,000万円以上)に達したと発表。破たん事業者数はやや落ち着いているものの、緊急事態宣言の対象地域拡大等で楽観視はできない。世界ではアジア等での感染拡大に加え、アフガン、中国、米国利上げ観測等が株安を後押しする。

【こちらも】7月の派遣時給は続伸、エンジャパンとリクルートは過去最高を更新

 東京都は21日、都内で新たに確認された新型コロナウイルス感染者数が5,074人となり、4日連続で5,000人を超えたと発表した。20日までの1週間における1日当り新規感染者の平均は4,722人(前週は4,156人、前々週は3,820人)。週単位では重症者や入院患者も増加傾向にあることから、医療体制の改善は急務となっている。

 政府は20日、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を新たに緊急事態宣言の対象とした。また、宮城等10県へ「まん延防止等重点措置」を適用。合わせて、既存の対象地域を含め、これらの期限を9月12日とした。

 飲食店に対し時短営業や酒類提供の停止を求める自治体が増えたほか、一定規模以上の百貨店等は入場制限を導入すると見られる。破たん事業者数がやや減少している状況下、飲食関連やアパレル関連で再び破たん件数が増えるリスクは高まる。

 トヨタ自動車は19日、東南アジアでのコロナ感染拡大の影響を踏まえ、9月の世界生産を計画の90万台弱から54万台程度まで減らす方針を発表。通期の生産計画等は変えないとのことで業績への影響は軽微と見られる。

 一方、東南アジアは自動車に限らず大手製造業の製造拠点が多く、多様な業界で供給不足リスクが高まる。また、FRBによる年内テーパリングへの警戒感が高まり、アフガニスタンではタリバンが権力を再掌握、中国では共産党主導の規制強化が進み、世界の投資家はリスクオフ姿勢を急速に強めている。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間21日午前11時時点で2億1,076万人超、死者数は441万人超。

 国別の最多は米国の3,759万人超、次いでインドが3,235万人、ブラジルが2,052万人。以下、フランス665万人、ロシア661万人、イギリス645万人、トルコ617万人と続く。直近4週間では、米国で300万人以上増えたのが目立つほか、イラン(96万人増)、インドネアシア(89万人増)、タイ(53万人増)、マレーシア(52万人増)とアジア・中東で急増している。日本は直近4週間で37万人増え、累計125万人を超えた。

 かかる状況下、東京商工リサーチは新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、20日時点で1,842件(負債1,000万円以上)に達したと発表。破たん企業が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで1万9,724人(前週比84人増)に達した。

 時短等要請を受け入れずに営業活動をする飲食店等の増加や、協力金の早期支給などにより破たん件数はピーク時より減った。一方、ワクチンが普及しても感染拡大は収まらず、緊急事態宣言は対象地域が拡大し期限も延長されるなど、これら業種の正常化時期はまだ見えない。(記事:dailyst・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事