貯蓄意欲が高まる今 ローリスクでの資産運用も選択肢に

2021年8月18日 08:15

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 SMBCコンシューマーファイナンスが公表した『各世代の金銭感覚についての意識調査2020』によると、30代・40代の平均貯蓄額は283万円となり、コロナ禍前の2019年12月のデータから平均値で91万円増加しているという。なお、20代は平均72万円(19万円増)、10代も13万円超で2人に1人以上の割合で貯蓄を始めている。

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 このように、長期化する自粛政策が多くの国民の将来不安を助長し、自己防衛的な貯蓄志向をあおっている格好だ。もちろん、個々が自主的に貯蓄に取り組む姿勢は安定社会の基礎となる。これまで貯蓄にあまり関心を示してこなかった若い世代、貯蓄したくてもなかなか踏み切れなかった中年世代が、半ば強制的に貯蓄を始めたことはコロナ禍にあって不幸中の幸いとも言える。

 そこで、年々貯蓄を積み上げていく体制にある人はぜひ堅実な方法での資産運用を勧めたい。つみたてNISAやiDeCoといった税優遇制度を利用した、ローリスク・ローリターンの資産運用は貯蓄と同等の安全性を持ち、ある程度の年利回りが計算できる有効な資産運用手段だ。

 ちなみにつみたてNISAは、国が定めた低コスト・長期安定運用の基準を全て満たした投資信託などの金融商品から投資先を選び、年間40万円を上限に20年間非課税での資産運用ができる制度だ。少額額投資ではあるが、毎月3万3333円を20年間つみたてて、合計800万円の投資が非課税で実践できる。つまり、投資商品が生む利益を非課税(本来は20.315%の所得税が課税される)で受け取れる点が大きなメリットだ。

 このメリットを分かりやすくするために、『AUカブコム証券のつみたてNISA(積立NISA)かんたんシミュレーション』で試算してみると、次のような結果になる。

 毎月の積立金:月3万円
 平均利回り:年率5%想定
 つみたて期間:20年

 最終金額(累計積立額+増えた額):1222万3733円
 累計積立額(実際の積立額) :720万円
 トータル利益(運用益)     :502万3733円
 つみたてNISAで非課税となる税額:102万0571円

 あくまでもシミュレーション上の話だが、20年間で720万円を貯蓄して500万円以上の利益を得る計算となった。なお、本来ならば支払うべき所得税だが、つみたてNISAの非課税制度によって102万円も減税されている点に注目したい。

 老後2000万円の資金調達は、誰にとっても悩みのタネだ。日ごろから生活を簡素にし、できる限り支出の小さなライフスタイルを目指すと同時に、早いタイミングから効果的な資産運用を実践することは身の守りとなる。社会的に貯蓄意識が高まっている今、そのお金を確実に活かす形で試算を膨らませる工夫にも着手したいものだ。(記事:TO・記事一覧を見る

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