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ラッド ミュージシャン 2021年春夏コレクション - 新たな“共感領域”を開く、実験音楽の前衛性
ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)の、2021年春夏コレクションを紹介。
■一柳慧の即興音楽や「X-ファイル」からインスパイア
「FREE IMPROVISATION 1975」がテーマの今季は、一柳慧、マイケル・ランタ、小杉武久による即興音楽を1975年に収録したアルバム「IMPROVISATION SEP. 1975」や、超常現象をテーマにした90年代アメリカのテレビドラマ「X-ファイル」からインスパイア。また、劇作家のサミュエル・ベケットの不条理な小説からも着想を得ている。
様式にとらわれない実験的な音楽の前衛性や、常識では説明のつかない不思議な現象を通して、既成概念や同調圧力に左右されない、新たな“共感領域”への可能性を見出した。
■抽象性を帯びる小花模様
目を引くのは、繊細な小花柄モチーフだ。19世紀の1人の画家の作品を多数組み合わせることで、野に繁っているかのような小花模様を表現。テーラードジャケットやスリムフレアーパンツ、ハーフパンツ、ロングジャケット、ブラウス、パーカーなどに総柄で落とし込まれている。点々と咲く花々は抽象性を帯び、華やかながらもどこか静けさを感じさせる表情を見せる。
■薔薇と天使の絵画調プリントも
その一方で、写実的な花を描いた絵画プリントのシャツも登場。手に持った薔薇と天使を描いたシャツは、陰影をつけた立体感のあるタッチによってぼうっと浮かび上がるようなグラフィックに。絵画調のデザインに加え、サーモグラフィーの色彩を用いてサイケデリックなエッセンスをプラスしたモデルも用意する。
■70’sや90’sを彷彿させるスタイル
ダブルのジャケットにセンタープレスのフレアーパンツを組み合わせたセットアップやしなやかなボウタイブラウスなど、70年代ファッションを彷彿させるルックが散見された。加えて、90年代の古着をモチーフにした、オンブレーチェックとグレンチェックを掛け合わせたジャケット、パンツなども登場。「IMPROVISATION SEP. 1975」や「X-ファイル」が登場した当時の空気感を漂わせつつ、ラッド ミュージシャンならではのモードなシルエットとシャープなデザインによって、独自のスタイルを形作っている。
英国のロックバンド「ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)」のイアン・カーティスが着用していたミリタリーコートから着想を得たトレンチコートには、ハイネックのインナー、スリムなシルエットのパンツ、ストレートチップシューズをコーディネート。トレンチコートは生地の分量感を活かしてボクシーなフォルムに仕上げ、シンプルながらも独特な存在感を放つ1着に。フォーマルなストレートチップシューズにはヒールをプラスすることでエッジを効かせている。
■“エイリアン”ニットなど遊び心に溢れたデザイン
さらに注目したいのは、遊び心に溢れたディテール。ブリーチしたワイドデニムに合わせたモスグリーンのニットは、よく見るとケーブル編みの編地がエイリアンのパターンになっている。加えて淡いピンクのステッチでUFOとエイリアンをあしらい、手描きのようなラインを描いてシュールに仕上げた。
また、フェアアイルカーディガンの幾何学模様には、さり気なく宇宙語のようなメッセージを組み込んだ。中に着たTシャツには、1970年代の様々な即興系のアナログレコードに着想を得たオリジナルグラフィックがプリントされている。その他、テーマの「FREE IMPROVISATION 1975」とマイケル・ランタのアルバム「無」を抽象的な図式で表したスウェットシャツやパンツ、コントラストの低い図像で暗に“破壊”を仄めかすギターのグラフィックTシャツなど、細部に遊びを効かせたアイテムが揃う。
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